まとまった雪の後に遭遇チャンスがあるのが、普段なかなか見ることのないクロジ。繁殖は盆地を囲む1,000m級の山地で行い、繁殖期に林道を走ると「ホーイ、チョイチョイ」と聞こえる独特の囀りで存在がわかる。しかし薮中からなかなか姿を現すことがなく、撮影の難しい相手の一つだ。
冬は里山まで降りてきて越冬生活をするようで、クロジが垂直移動する漂鳥であることを知ったのは最近のことである。夏鳥で、冬は南に渡ると思っていたが、そうでもないらしい。里に降りたクロジは、こうして雪が降ると、路肩に広がっている種子を食べに、林の中から出てくるのである。
最初出会った個体は、おそらく、成鳥のメス。渋い羽模様であるが、目の上下にある黄色いアイラインがチャーミング。クロジのメスの撮影は今回が初めてだったが、いっぺんにクロジのメスのファンになった。
次に出てきたのがオスの幼鳥。第1回冬羽オスのようである。成鳥のダークグレイに比べて、全体的にグレーが薄いのと褐色系の羽も交じる。
オス幼鳥(奥)とメス成鳥(手前)が2羽で写ったカット。明らかにオスの方が暗い色目である。
右のオス幼にピントを合わせたカット。
同じオスを正面から見ると、成鳥オスに近い感じがする。
翌日、同じ林縁でようやくクロジ成鳥オスの撮影が叶った。名前の通り、クロジである。渋すぎる。
これはよく見かけるアオジ。兵庫県レッドリストAランクであるが、繁殖個体群の評価がAランクということで、越冬個体群は珍しいものではない。クロジのメスはアオジとよく似ている。
さて、雪の白地にアオジやクロジが出てくるのであるが、青や黒はあるけど、この鳥の仲間に赤はいない。つまり、アカジという鳥はいない。ちなみに、クロジの漢字表記は「黒鵐」と難しいジである。
2023.2.1-2 D7500+VR300mmF4.0