12年目の鎮魂の日

たまたまこの日に神戸出張が重なった。三宮の東遊園地地下の市営駐車場に車を置き、地上に出て園内を一回りしてみる。1995年1月17日午前5時46分。12年前の今日、この地を襲った未曾有の大地震で6.500人近い尊い命が失われた。
地震発生時刻に合わせて、この場所で追悼式が行なわれた。早朝の雨は昼までには上がり、無数の竹灯篭の炎が曇り空の下で揺らいでいた。常設の鎮魂のモニュメントの前で手を合わせてからミーティングの場所へと移動した。

18時過ぎに戻った。沿道にはテントがいくつも張られ、ボランティアの炊き出しや、メーカー協賛の熱い飲み物などが配られている。鎮魂灯篭を並べているテントがあった。立ち止まって携帯のデジカメでスナップしてゆく人も多い。

広場の竹灯篭の群れは、昼間の雰囲気から一変した。夜空に向けて揺らめく無数の炎は、天に召された魂たちの地上への写し絵のようであり、今日、このとき、生かされているものたちとの魂の交歓が、静かに続いているようだった。

海側に隣接する関西電力ビルが、光のモニュメントを演出。広場の隅にはテレビ各局の中継車が並んでいて、カメラやマイクを持った人が動き回っている。仕事を終えた人たちが、帰宅途中に立ち寄っては祈りを捧げてゆく姿が後を絶たない。たくさんの炎と、たくさんの祈りが満ちていた。

すこし外れた場所にある常設のモニュメント「1.17希望の灯り 」。花束が捧げられている。静かに手を合わしてゆく家族づれ、それぞれに大切な人を一瞬のうちになくし、生活の場をなくし、それでも12年間を懸命に生きてきた。なくしたものへの鎮魂の祈りは、生かされ、助けられ、勇気付けられてきたすべてのものへの感謝の祈りでもあっただろう。私ももう一度、静かに目を閉じ、手を合わせた。
碑文にはこう刻まれている。

撮影:Nikon Coolpix5000/WC-E68

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1 throught on "12年目の鎮魂の日"

  1. 自己レスですが…
    どうしても上から2番目の写真が気になるのです。そして気づきました。ロウソ\クの光と陰が織り成す竹筒の中が、人の顔に見えるのです。それもみんな笑顔で。
    来てくれて、ありがとね。天の魂の写し絵たちが、笑顔となってそんな風に言っているように思えたのです。

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