


7月7日、キヌガサタケの観察を終えてから山に向かった。なにか目につく植物はないかと探しながら、ゆっくり林道の高度を上げて行く。通り過ぎてからすぐ、砂防堰堤の下に目立つものに気づいた。車を止め、目的のものに近づく。ラン科のツチアケビの開花株であった。秋口にウィンナーソーセージのような実をつけるこの植物は、主にナラタケに依存する菌従属栄養植物である。ツチアケビの花はタイミングが合わないとなかないお目にかかれない。




それから9日が過ぎた7月16日、同じ林道を走った。ツチアケビは見落としたが、この時期の出会いを期待していた植物と出会えた。色目は違うが、立ち姿はツチアケビに似ている、ラン科のオニノヤガラである。昨年は観察できなかったので2年ぶりに同じ場所で再会した。前回は1株であったが、今回は2株並んで出ていた。やはり菌従属性栄養植物で、宿主もナラタケと共通している。近づいてマクロで花の中を覗くと、ランらしい構造をしていた。
遠目に見ると、まさに地面に刺さった「鬼の矢柄」のようで、命名者のセンスを感じる。
2025.7.7,16 D7500+VR300mmF4.0, 90mmMACRO, 10mmFE
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