平家そば


旧香住町の御崎(みさき)地区は平家落人伝説の集落。余部鉄橋から国道を離れ、海沿いの断崖を3.3キロ登ったところにある。昔から場所のことは知っていたが、この歳になるまで一度も行ったことがなかった。この集落に「平家そば」という手打ちそば屋があることを知り、はじめて訪ねることになった。

標高170mの山腹に御崎の集落があった。ここから見る日本海は実に大きな弧を描いて広々と広がっている。あいにくの小雨模様が残念だ。小さな村だから「平家そば」のお店はすぐに見つかった。もう少し体裁のよい店かと思った予測はかなり大きくハズレた。
入るのに少し憚れるような暖簾をくぐると、爺さんが客席でテレビを見ているところだった。百手(ももて)そばという名前のざる蕎麦を注文。550円。おにぎり200円もつけた。村の神社に伝わる「百手の儀式」という行事にまつわる命名とのこと。厨房ではじいさんと連れ合いのばあさんがごそごそと支度をしてくれている。店内は贔屓目にみても清潔感に欠けていて、出てくる生そばに不安を感じながら待った。

普通のざる蕎麦である。ウズラの卵と山芋がついてくる。前回の高中そば同様にぬるいそばだったが食感は悪くない。
出汁もそれなりなのだが、どうも少し生臭いにおいがする。いや、お店がこぎれいであれば、同じものを出されてももっとポジティブな感想を持ったかも知れないが、やはり雰囲気というのは大切である。
おにぎりは2つで、白いのと「おむすび山」をふり掛けたものと。突き出しのフキの佃煮はばあさんが煮たものだろうか。これは美味しかった。じいさんが町のパンフレットと、村の公民館のパンフレットをくれて少し説明してくれたけど、公民館のことはまあどうでもよかった。途中で老夫婦のヨメと思しき女性が厨房に入って以降を仕切った。

何かのきっかけが無ければ、もう一度この店を訪ねることはないだろうと思った。せっかくだから車で少し上ったところに立つ余部崎灯台を見学。標高270mに立っていて、これは日本一標高の高い灯台なんだそうだ。
ここからさらに西に向けて林道が通っている。鳥の移動時期には面白そうな場所なので、次回はその目でこの道を利用してみようと思う。

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