こだま


空のアホウドリ 翼をひろげて
うねる波の下 珊瑚礁の迷宮
遠い時のこだま 砂を渦巻いて
すべては緑 海の底
誰も来ることなく
場所、理由も知らず
揺り動き 星は昇り やがて光になって
街の雑踏の中 誰かと目が合い
僕は君 僕の見てるのは僕
君の手をとって 丘を越え行こう
教えて欲しい できること
誰も来ることなく
誰も生きて渡らず
沈黙 太陽の 周りを飛ぶものもいない
目覚めの瞼(まぶた)に 君はいつもおりたち
誘惑し 僕を起こそうとする
窓の向こうには 陽光(ひかり)の翼が
百万の 眩しい朝の使者
子守り歌は聞こえず 目を閉じることもない
窓を開け放ち 君を呼ぶ 空の彼方


フロイド全盛期のアルバム「おせっかい」B面1トラックの大作。私にとってプログレミュージックの最高傑作と言ってもよい。イントロからエンディングにいたるすべてのフレーズがあまりにも見事に構成されている。ある評論家は胎内回帰ということばでこの曲を評している。ジャケットデザインも子宮をシンボライズしているのだという。いや、これは耳でしょう。深閑な水中の耳に、ポタポタと水滴が滴っているのが「おせっかい」なんです。
30年経ってこの曲をいまだに越えるものがないのが寂しいといえば寂しいし、嬉しいといえば嬉しい。

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