コウノトリ文化館の売店でこのポストカードを販売中だ。私とKingFisher氏の作品が半々。オフセット印刷ではない、いわゆる写真ハガキの手作り品である。コストは高いがクォリティはよい。これを売店で並べてから、観光客のお土産ナンバーワンになっているらしい。バラ売りのコンセプトも成功したようだ。1枚買って帰ろうというニーズにヒットした。
自分たちの撮った写真が売れるのは悪い気がしないのはそのとおりであるが、撮影者の思惑と購買者の思惑のすれ違いという点で少し悩みがある。この6種類の中で、私が一番好きなのは左上のKingFisher氏の作品だ。円山川の水面を低く飛んでいる様子は躍動感があり、背景のヨシ原が円山川の自然度を教えてくれている。いい写真だなあと思う。しかし、このカードが売店では一番売れないという。
観光客が求める絵柄は、どにかくど~んと真ん中にコウノトリが大きくクッキリ写っているものだ。そんな写真は動物園で撮ってもいっしょでしょと思うのだけど、そうではないらしい。円山川の上を飛ぶ野生コウノトリの写真こそが、当地を旅した思い出になるのではないですか?
表現者の思惑は必ずしもニーズと合致しないのは世のならわしであるけれど、受け取る側の人たちにももう少し見る目を持ってもらいたいというのが表現者としての言い分だ。まあ、マジョリティなニーズに迎合する表現者は掃いて捨てるほどいて、たぶんその人たちの方が実入りがいいことは想像に難くない。でも、真実をしっかり見せて相手に深い思慮まで喚起してくれる作品こそが、今の時代には必要なのではないだろうか。そう思いながらも、今日もイージーな写真を撮ってしまう自分が一方ではいるわけだが…
視点の違い
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