このまえはいつだっただろうと調べたら98年の初夏だったから、正確には6年半ぶりということか。いずれにせよずいぶんインターバルがあいた。
最近になって、前に治療したところが次々に壊れてきたのと、残っていた最後の親知らずが虫歯で崩壊してきた。親知らずの虫歯は半年ほど前にひどい痛みを伴ったが、すぐになんともなくなって小さな崩壊を繰り返しつつ時間が経過した。しかし、食いカスはツマるは口臭はひどくなるわでとうとう決意した。歯医者にゆくには重大な決意がいることは、みなさんその通りですよね。
「回るレントゲン」を撮ったあと、看護師の「本当に抜きますか?」との躊躇の言葉に、「一気にやっちゃってください」と力強く答える。先延ばしにしたら、今日ここに来た決意を再び持てる保障が無いではないか。「先生が抜こうとおっしゃいましたので、じゃあ」ということで抜歯の準備が始まった。ドクターにとっても抜歯はきっと重労働だから気乗りしないのだろうなあと思いながら、寝台に仰向きになってドクターを待った。
「じゃあ注射からいきますから」と告げられたあとは殆ど目を閉じていた。ところで、目をあけて歯科治療を受ける大人はいるのだろうか? 麻酔が効いたあとはバールだかペンチだか、目を閉じているのでよくわからないけど、なんか専用の道具で歯茎から徐々に親知らずを持ち上げている感覚が伝わる。ドクターのゴム手袋の感触が唇に伝わり、唾を吸引するノズルがジュボーと音を立て、15分の格闘後、ドクターの腕にひときわ力がこもったところで抜けた、みたいだった。麻酔が掛かっているので抜けた感覚が分からないが、治療のステージが次に移ったから抜けたのだろう。ようやく薄目を開けて、ドクターに「抜けましたか?」と間抜けな質問をした。ドクターは黙って頷いて「次は掃除して、詰め物しますから」と作業を続けた。縫合が終わり、ガーゼを噛んだまま止血の指示が出て治療終了。
いやあ、ひさしぶりに歯科治療時の気分の悪さを体験したけど、前ほど気分も悪くならなかったのは、自分が歳とって神経が鈍くなってきたからなのかも知れない。そういや、前回の治療時は喫煙もしていたし、ピロリ菌もまだ腹の中で飼育していたっけなあ。
他の不良個所もこの際一気に直すつもりなので、しばらく歯医者通いが続く。この歳になると歯の大切さが身にしみてわかってくる。これを読んでいる若いみなさん、くれぐれも歯は大切にしておきましょうね。
そして3ヶ月が経って5月30日、治療終了。
次の歯医者行きは、短いインターバルでやってきそうだ。