自宅のPCはDellの5年前のモデル、Dimension8400。Pentium4/3GHz/DDR2 1GB(512MBx2)でWindowsXPを動かしていた。
最近になって起動時にLow Batteryアラートが出るようになり、F1スキップでOSを立ち上げていたが、思い立ってマザーボードのバックアップ電池を交換することにした。
リチウム電池の型名は3vのCR2032。どこでも手に入るボタン電池である。ホームセンターで250円で買ってきて交換したまでは良かったが、その後思わぬ重体に陥ってしまった。
起動時にmemory write/read failureが出るようになり、F12の診断プログラムからメモリーチェックを掛けると512MBのDIMMの1枚がやられている様子。電池交換時に静電気でやられたのか? よく分からないまま、この際1GB×2にアップグレードしようと市内の電気屋でメモリーを購入して換装する。I/OデータのDDR2(DX533-1Gx2)で2枚組み1.1万円也。
しかし、その後も不可解な現象が続発。OSが起動したかと思えば途端にブルー画面、今度はBIOSすら走らない。あれこれやってようやく復帰したかに見えても、一晩OFFして翌朝立ち上げるとウンスン。これはマザーボードのハードトラブル、しかも正常動作が一晩置くと異常に落ちるという、いかにもコンデンサ系が不良と思われる挙動を見せた。
マザーボードをチェックすると、案の定、メモリースロット周辺のコンデンサが膨れ上がり、1つはすでに頭から電解液がにじみ出ているではないか。電池交換がトリガーとなって、一気にコンデンサ劣化のトラブルが進行した模様だった。Dellのコンデンサ問題は有名な不良事故で、この記事がいまだによく参照される。
トラブル発覚当時、たまたまハズレを引いてしまった勤務先のDellのOptplex数台で、メーカーによるマザーボード交換が行われた。私もその作業に立ち会ったからよく覚えている。Dellの法人対応はなかなか良い。一方で個人向けPCへのサービス対応は良くないというのが一般的な意見である。事実、今回の私のDimension8400では、問題のコンデンサを実装してありながら、何の通知もアフターフォローも無かった。そして購入後5年を経て、マイPCで今回のトラブルが起こるべくして起こったのである。
原因はコンデンサであると特定してからは作業が早い。交換すればよいだけである。交換対象は以下の6個。
ニチコンHN(M)シリーズ
1000μF/10V 5個
2200μF/6.3V 1個
DellのデスクトップPCの内部は本当によく出来ている。ほとんどのユニットは樹脂性のロックで止められており、ドライバーでネジ止めという作業を極力排除してある。これがDellのBTO(Build to Order)ビジネスを成功させている一つの要因でもあろう。パチッと手で外して、パチッとユニットを交換できるのである。
マザーボードの取り外しも、ネジ止めは一箇所のみ。いとも簡単にマザーボードが取り出せた。
これがDell dimension8400のマザーボードである。ボード周囲のコネクタには、外した順番に番号を振った。こうすることで組付け時の間違いを防げる。あと、できる限り、触る部分の元の状態を写真で記録しておくことだ。
CPUのヒートシンクを外すには、ホルダーの4本のネジをボードシャーシーの裏から外す必要がある。ボードをシャーシーから外すには、4隅の六角スクリューを緩める。
さて、これが問題のニチコンの電解コンデンサである。コンデンサの頭がプックリ膨らんでおり、1つは茶色いシミが出ている。内部の電解液が噴き出してきているのだ。他の正常な電解コンデンサと比較して、目視で異常が明らかである。
交換部品は秋月電子の通販で仕入れた。マザーボード用電解コンデンサ1個70円である。ルビコン製の超低ESR/105℃品、ECZシリーズ。2200μFは6.3vが無かったので、少し大きい10v定格を実装した。
半田付作業はそれなりの技術が必要である。細いパターンが込み入っている場所にコンデンサのランドがあるものがあり、周辺パターンを熱で破損しないよう気をつかう。多層基板の上、電解コンデンサはベタパターンに乗っているので熱が伝わりにくい。パワーのあるハンダゴテで一気にやっつけてしまわないと始末が悪い。半田付作業には慣れているつもりの私でも、手持ちの道具がプアーだったせいもあり、かなり不満足な作業結果ではあった。
(注:これまでの話が分からない人は、同じトラブルと判断しても自分で交換作業しようなど考えないこと。壊すだけです。専門業者に任せましょう)
これが取り外したコンデンサ。今回のトラブルメーカーである。
ニチコンの5年前当時のHN(M)シリーズは製造上の問題を抱えてロット不良を起こしたが、マザーボードの電解コンデンサ劣化は時間の問題で早晩起こる宿命を持っている。そのことは、ネットで「マザーボード コンデンサ」で検索すれば、膨大な数のサイトがヒットすることからも頷ける。
一般的には、動作不良でパソコンごと修理に出すのが普通だろうし、5年も経って調子悪くなれば買い替えの選択肢が優勢になってくる。私のPCも、今回のトラブルでは買換えを前提に作業にあたった。コンデンサ交換でうまく行かなければ、最速のWindows7マシンが鎮座していたはずだ。
(ちなみに、ネット情報によれば、メーカー修理でマザーボード交換となれば4~5万は掛かるらしい。つまり、デフレの今となっては、それなりのデスクトップマシンが新品で買えてしまう)
コンデンサ換装の終わったマザーボードを組付け、コネクタを元に戻し、不安と期待で電源を入れる。
何事も無かったかのように、いつものWindowsXPのロゴが現れ、見慣れたデスクトップ画面が表示されたときには正直ホッとした。何度か起動/終了を繰返しても異常なし。一晩置いても正常。やれやれ、重体の我がPCも見事に完治したようである。
2GBに増えたメモリーを有効活用すべく、メモリーマネジメントを調整した。HDに割り振っていた仮想メモリーもゼロにした。CPUやクロックはそのままだから劇的な変化は無いが、WindowsXPのオペレーションが少し軽快になった。
換装した電解コンデンサが同じ周期で劣化したとしても、あと5年は使えるだろうか。その前にHDDが飛んでしまう可能性が大きい。新しいPCはお預けになったものの、今回の大手術を自らの手で行ったことで、Dimension8400への愛着が増したことは確かである。もうしばらく、こいつと仲良くやってゆこうと思う。
付け加えて、Dimension8400の前に使っていたさらに旧型のDimension XPS T600r/Windows98モデルのバックアップが役立った。子ども用のPCに払い下げてあったのが、もう誰も使わなくなって久しかった。ネットにつなげるにはこいつで十分なので、壊れた8400の隣でしばしの間、外界とのパイプ役になってくれたのである。使い古しのオンボロPCでも、置いておけばいざというときに本当に助かることを今回は再認識した。
メインマシンが1週間ダウンしたが、ともあれ、一件落着と相成った。
2009/12/5~12 D90+SIGMA10mmFE,17-70MACRO,SP90MACRO
追記:
交換したニチコンの電解コンデンサの製造ロットを記しておく。
1000μF/10V A0415 (2004/4/5~11) 2個
1000μF/10V A0416 (2004/4/12~18) 3個
2200μF/6.3V A0422 (2004/5/24~30) 1個
この製造ロットが不良だったのかどうかの確証はない。だが、不良問題の渦中にあった時期に製造されたものであることは間違いない。
普通の部屋のデフォルトユースで、主に夜間のみの使用で、良品コンデンサであっても5年でパンクするものだろうか?
CPUの処理速度が上がり、発熱問題が由々しくなって顕在化したトラブルと言えるかも知れない。ホコリで筐体内のエアーフローが悪くなれば、その分だけコンデンサの寿命を縮めていることになる。
電解コンデンサは高温環境に曝されれば曝されるほど劣化を早める。そんなことをもう一度意識しなおして、定期的なパソコンの掃除も行ってやろうと思う次第である。
さらに追記:
不具合箇所が残っていた。といっても大したことではない。
CDを焼こうとしたら、ドライブが認識されない。システムのプロパティを調べると、Win98時代に散々ぱら目にしたデバイスドライバの黄色い「!」が出ていた。
デバイスを一旦削除し、再起動を掛けてドライバを認識させて復旧。
オペ成功、おめでとうございます。私にはこのオペ、無理です。
せいぜい、電源ユニットのヒューズ交換くらいです。
2Gのメモリに相当こだわっちゃったんじゃない....?。
メモリーを増やしたこともコンデンサトラブルを助長したのかもしれませんが、まあ、一目でこりゃあかんと思わせる腫れ具合でしたな。膿も出て。
変人PCも、ときどき内臓目視検査をしてみてください、腫れが出ていたら、覚悟を決めて次の手を早めにうつことです。
私に修理を頼まんとといてくださいよ。自分のなら潰れても納得しますが、ヒト様のは保証の限りではありません。
初めまして。
コンデンサの交換、大変参考になりました。
私のDIMENSION8400、2004年9月購入です。
そろそろHDDの交換時期と思い、内部掃除も兼ねHDD交換のため、本体を開けたところ、コンデンサの頭がが見事にパンパン。
うち1本は味噌が付着!!
私の場合、コンデンサの交換よりマザーボードをうまく取り外せるかが大問題です。
このパソ\コン、何時まで持ちこたえられるものやら・・・
壊れてから、コンデンサの交換にtryしてみる事にします。
カミナリオヤジさん、お役に立てれば何よりです。
私もコンデンサ交換にあたり、たくさんのサイトを参考にさせてもらいました。
時間の問題でしょうが、コンデンサがパンクするまではそのまま使ってやってください。交換するときは、失敗したら買い替えの気持ちで臨みましょう。くれぐれもパターンを焼き切らないようご注意ください、一箇所、ヤバイところがあります。
マザーボードの取り外しは極めて簡単です。ネジ1本外して、あとは板金の引っ掛けを外すだけ。背面のコネクタ類は全部基板上に実装されています。
以下のDELLのService Manualが役立ちます。
http://supportapj.dell.com/support/edocs/systems/dim8400/SM/parts.htm#wp1052308
ご報告遅くなりましたが、今夏無事コンデンサの交換終了いたしました。
特段パソ\コンの不具合は起きていませんでしたが、意を決して交換作業したし
ました。
但馬守(?)様のHPが無ければ、出来なかったと思います。ありがとうございま
した。
私も60代の後半に差し掛かり少々『面倒ぐさ』病にかかりつつありますが
歳に負けず色々挑戦していきたいと思っております。
ご報告まで。
カミナリオヤジさん、
うまくいってよかったですね。私のDimension、コンデンサ換装後ちょうど1年がたちました。以後、何のトラブルもなく機嫌よく動いてくれています。図体はでかいですが、信頼性のあるマシンでなかなか手放せません。
はじめまして。
突然ではございますが、デジタルマーティングの分野に従事しております高梨と申\します。
今回こちらの記事を拝見し、電子部品関係メーカーの記事内での紹介等をご依頼させていただければと思いご連絡させていただきました。
もしよろしければ詳細についてメールにてご説明をさせていただければと思っております。お忙しいところ恐れ入りますが、一度ご連絡をいただけましたら幸いです。
お返事心よりお待ちしております。
高梨 百合
お世話になっております。
以前、電子部品関連の記事コラボレーションの件で一度ご相談させていただきました高梨と申\します。
サイト記事でクライアントウェブページの紹介を一部で行っていただけたらとお伝えさせていただきました内容について、改めてご都合をお伺いできればと思い、この度ご連絡させていただきました次第です。
こちら最大で3万円の謝礼金をお支払いさせていただいております。
お忙しいところ、重ね重ねのご連絡となりまして大変恐縮でございますが
ぜひご連絡いただけましたら幸いです。
高梨
高梨 百合様
もう9年も前の記事のことで、当時のことはすっかり記憶から飛んでしまっています。どのような記事をどのようなサイトで掲載されるのか、高梨様がどこかの会社の人なのか、フリーのライターなのか、さっぱりわからないのでメール返信も躊躇せざるをえません。詳細をお伝え頂けるのなら、トップページの最下部にあるポストアイコンをクリックし、フォームメールで連絡をしてください。