夜になると目の色が変わる

人間界にも、その手の人がいる。が、今回は虫の世界のお話。

夜遊び中にススキの葉裏に見つけたアカハネナガウンカ。このウンカは昆虫マニアの中では有名な存在で、その魅力は漫画チックな顔つきにある。オレンジの体に勾玉状の白い大きな複眼、その中に偽瞳孔と呼ばれる黒目のような丸があり、実に漫画的で表情豊かなのだ。
前回はそのことに気づかず、後方からの撮影で終わっていた。再会の夜、撮影はもちろん前から狙った。そのカットがこれ。ありゃ、白目がない。。。
別種かとも思ったが、調べてゆくうちに納得に到った。アカハネナガウンカの複眼は、夜になると黒く色を変えるのである。勾玉白目に黒丸が魅力の顔も、全体が真っ黒になるとまるで面白くない。もっとも、面白くないのは人間の勝手で、虫が夜を生きるための生理現象に過ぎない。

同じ夜、カマキリの顔を何気にアップで撮った。一旦はゴミ箱に捨てたデータを、慌てて拾い出してきたのがコレ。そう、カマキリの目も真っ黒なのである。カマキリの複眼が夜になると黒くなることは、多くの人がネット上に書いていることからも、よく知られた生態に違いない。恥ずかしながら、私は今まで意識していなかった。
アカハネナガウンカとカマキリの共通点、すなわち、夜になると目の色が変わる。
両種とも、昼間はそれぞれ白と緑の大きな複眼を持ち、その中に黒い偽瞳孔が目立つ。その表情は多分に擬人的であり、漫画的であり、チャームポイントとなって人気があるのだ。
夜になると、複眼全体が黒く変色する。太陽光の無い夜間、星明りや月明りや人工光の中で、獲物からの反射光をしっかり吸収するために、複眼全体を黒くしている。
黒くなるメカニズムについてはまだ調べが足りない。昼間の偽瞳孔の部分が全体に拡大しているのか、表面色素を黒く変えているのか。それにしても、蜘蛛もそうだが、夜を生きるものたちの巧妙な仕掛けには感心してしまう。
2009/8/22 D90+SP90MACRO

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