雨の田んぼで、北へ移動中のオグロシギ1羽を観察した。夏羽のこの時期のオグロシギは赤く美しい。冬羽は地味な灰色である。
オオソリハシシギに似るが、飛んだ時の尾羽が黒いのがオグロシギである。
田んぼには複数羽のケリがいて、繁殖真っ盛り。小さなヒナを守って、侵入者へ執拗な威嚇行動を繰り返す。オグロシギもケリに追いかけられていたが、次に出会ったタマシギのペアには、ケリは攻撃を仕掛けない様子だった。タマシギは基本的に夜行性で、目が大きいのが特徴。この大きな目にケリも敬遠しているのかもしれない。
タマシギとはずいぶん久しぶりの再会である。六方田んぼ周辺ではとんと見かけなくなった。
地味目な方がオスである。
きれいな色をしているのがメス。オスのほうがたいがいきれいという鳥の世界の、常識破り的な存在である。その理由は、タマシギの繁殖方法にある。メスは複数のオスとつがいを形成する。産卵すると抱卵から育雛までの子育てをすべてオスに任せ、メスは新しいオスを探して再び産卵し、次のオスにも後を任せる。子孫を残すためのしたたかな戦略。
並ぶとメスの方が少し体が大きい。泥の中からタニシを上手に巻き上げて捕食する。タマシギの生息環境がまだ残っていることを確認できた。
畔ではオシドリの夫婦が休憩中であった。
2021.5.20 D7500+VR300mmF2.8