大概の休日は一人でフィールドをほっつき歩いているが、ふと空しく感じることがある。その度合いが最近は増えてきたように思うけど、こういうのを「歳をとった」というのだろうか。お盆休みの最終日、昼の食事に妻たじまを誘って二人でドライブに出た。蕎麦が食べたいという二人の意見が一致。春来の「てっぺん」という蕎麦屋を初めて訪ねた。普段は山の下を貫くトンネルを抜けるだけの土地だが、雪深い峠の山村の夏は情緒があってよい。
お昼はとっくに過ぎた時間帯だったが結構な客だった。蕎麦はつなぎ無し100%蕎麦粉の食感で、これは好き嫌いが分かれるところ。私たちはどちらかといえばつなぎが入った喉越しのよさを好む。でも、ここの手打ち蕎麦は腰があって美味しく、鰹のよく効いた出汁もよかった。定食の蕎麦豆腐も美味しかったが、山菜の天ぷらが最高。会計のときに厨房のおばちゃんに素材を訊ねた。フキ、アザミ、ユキノシタ、ヨモギ、どれも朝摘んできたばかりだとおっしゃった。
いま各地でこのような蕎麦屋が出来ている。村興しにはとてもよい。地産地消のサイクルを回し、村の雇用を確保し、農業生産者にはやり甲斐が生まれる。田舎の人たちに欠落しがちな、サービスを売るというあたりもしっかり商売に生かせれば、より多くの客を引き込むことになるだろう。こういうお店にはぜひ頑張ってもらいたい。
帰っても暑いだけだから、もう少し標高の高いところで納涼を。気になっていながら行けてなかった但馬高原植物園を訪ねる。
田舎暮らしの地元民にとっては、大人500円の入園料を払ってまで見るべき施設ではないという風評らしいが、中に入ってみると料金に見合った付加価値が感じられた。
自然の地形を生かした遊歩道や小川は、そこを歩いてゆくだけでいろんな植物が自然に咲いている。もちろん人工的な花園はしつらえてあるが、取り囲む管理された野草のおかげで人工物や園芸種が浮いて見えない。カツラの下から湧き出てくる清流が園内を巡り、バイカモが白い小さな花をまだつけていた。
大カツラは糸井、兎和野、別宮と見てきたが、園内の和池の大カツラはもちろん初めて。ヒコ生えの古木の下を冷たい清流が流れる様は特にこの季節には涼しいご馳走だ。ここの水で喉を潤してから残りのパートを巡る。
園の中央付近はこのような感じ。トイレやベンチがある。芝生に寝転がるのも気持ちよいだろう。遊歩道のすべてをゆっくり回っても1時間もあれば十分だが、季節ごとにここでゆっくり時間を過ごすのもよい。
意外にも素敵な有料施設が但馬にあったことに妻たじまも私も満足した。テーマパークにありがちな安っぽさが無い。しっかり手入れされ、植物の専門家の監修下でこの施設が運営されているのがわかる。こういう施設では子供たちは退屈するだろうが、スタンプラリーの仕掛けも用意してあって親子で楽しむこともできるだろう。我が家に自然好きのゲストが来たとき、案内する場所がひとつ増えた。
お盆休み最終日
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