ある夕方


川沿いの国道の脇に雌シカの轢死体が放置されていた。この死体から50メートルと離れていない反対車線の路肩にも、もう一頭の小さなシカが転がっていた。状況から、シカの母親と子供がいっぺんにはねられたと想像してしまうが、間違っているかも知れない。
国道から下りる踏み跡を辿って河原に出てみると、シカの足跡がたくさんあった。夜中に水を飲みに入ってきているらしい。前夜、水場への行きか帰りに2頭は車にはねられたのだろう。
この一帯、夜は道路にシカが飛び出すことが多い。シカ注意の道路標識も立っている。車社会によって、鋼鉄製のオオカミがシカを間引いていると考えると気休めにはなるだろうが、やはりアスファルトの上で息絶えるシカの最期を思うと同情の気持ちが湧き上がる。しかし、増えすぎたシカ問題はシカトできない由々しき事態なのである。

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