(写真:来見谷のフクジュソウ)
丹後半島の中央部は深い山の中である。小金山、金剛童子山の東懐に抱かれたいくつかの集落に、フクジュソウが開花し始めたようだ。断片的なネット検索情報を頼りに、目星をつけたエリアに初めてアプローチしてみる。今年の開花状況はまったく分からず、ナビ無しのジムニーで向かうが、案の定、最初のアプローチは別の道を走っていた。民家で庭いじりをしていたお婆さんにフクジュソウのことを尋ね、霰(あられ)という地名を教わった。
少し道を引き返し、教えられた橋を渡ると二股に出会う。道標もなくとりあえず右の谷に入ってみる。舗装道の行き止まりに小さな集落があり、後で調べて分かったのだが、ここは霰ではなく、来見谷という集落であった。集落に入ってすぐに民家周辺に黄色い花があちこちに見られた。これがフクジュソウなのだろうと、一番奥の広い場所に車を止めて散策開始。目の前の民家の法面に、沢山のフクジュソウが開花している。住人の気配がないので敷地内への侵入は遠慮し、少し離れたとこから望遠レンズでフクジュソウを撮影した。
村中を散策すれば小さなコテージがあり、そこから少し離れたお宮さんの法面にフクジュソウの群落を見つけた。ちょうど見頃に開花している。車まで戻りながら、民家の敷地内にフクジュソウがポツポツ咲いているのを確認する。
来た道を引き返し、さきほどの二股を左にとる。すぐに三叉路に出くわし、左に橋を渡った集落が霰(あられ)地区であった。ここでも、民家のまわりにたくさんのフクジュソウが開花していた。フクジュソウは、こうして人の生活の中で大事に守られてきた植物なのだ。先に訪ねた青垣町のセツブンソウも同じ事情だ。人に守られて生きながらえている。
霰地区からさらに奥に進んだ須川地区で道路が行き止まる。この先は登山路でスイス村へと通じているようだ。
須川の公民館裏の法面にたくさんのフクジュソウが見られた。この群落は少し開花が遅いようだ。蕾のものも多く見かけた。
温古里(ほっこり)という農家民宿があった。いつか利用してみたい佇まいだった。
今後のために、本日訪ねた3箇所のフクジュソウの観察地をマップに記録する。
心無い人たちに盗掘される運命の花だが、雪深い山村に春を告げる花として、人々の生活の中に咲くことこそフクジュソウの身上である。そこに咲いているから美しい。私たちは、その美しさにそっと触れさせてもらうだけでいい。
(注)集落で見られるフクジュソウは個人の敷地内で住民の方が世話をされている私有物です。盗掘は窃盗罪にあたります。
霰橋の三叉路を右にとって奥に入ってみる。道は狭くなり、深い渓谷を縫うように高度を上げる。突然、除雪が終わった行き止まりが、細川ガラシャの記念碑がある場所だった。味土野という集落で、細川ガラシャが2年間、身を潜めていた場所とされる。この集落から金剛童子山への登山道が整備されているようで、今度また山歩きで訪れてみたいと思う。
2017/3/13 D500
フクジュソウ
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