新しい車に乗り換えた記念に、夫婦でドライブ旅行に出かけた。友達夫婦と一緒に行こうと言っている金沢・能登方面へ、今回はその予習を兼ねて行ってみることにした。金沢は何度か通過しただけの街で、今回が我が夫婦にとって初めての訪問。
昨年、妻と娘の二人旅で訪ねた永平寺がとてもよかったからと、妻の勧めで、旅の最初の立ちより場所を永平寺と決めていた。門前の蕎麦屋で昼食を済ませてから、雨のそぼ降る永平寺の山門をくぐる。雨に洗われた緑が美しい。
若い修行僧が案内図を前に順路を説明してくれる。傘も下履きも、すべてビニール袋に入れて持ち歩く。広い境内を1時間ほどかけてゆっくり見て回る。
160畳間の傘松閣の絵天井。様々な生き物が描かれており、ひとつひとつをじっくり観てゆけば面白いだろうけど、それはまた次の機会にでも。
法堂では修行僧の修行が続いており、経と香の凛とした空気感に、厳かな気分に誘われてゆく。
永平寺は道元が開いた曹洞宗の大本山。大晦日のNHK年越し映像でしか知らなかったお寺を、ようやく訪ねることができた。今回が2度目の妻は座禅体験をしたかったようだが、時間的にうまく合わずに残念だった。次の機会には、ぜひ泊りがけで体験を深めてみたいと思う。
永平寺を出る頃には雨も上がりはじめ、次の目的地に向けて地道を走る。カーナビ任せのドライブは楽ちんであるが、地図を読む楽しみとか、道中の立ち寄りスポットに気を向けるとか、そんな旅の面白さを自ら失くしてしまっている。
石川県小松市にある那谷寺(なたでら)は、ガイドブックで見つけたスポット。「奇岩遊仙境」と呼ばれる、岩山を切り開いて作られた庭園が有名。
この岩壁に沿って頼りない歩道が付けてあり、自己責任で立ち入ってもよいことになっている。上の方から見下ろした庭園の風景。高野山真言宗のお寺で、庭木のカエデは秋のシーズンには美しく色づくのだろう。
那谷寺の後は、友達からの推薦で向かった「中谷宇吉郎雪の科学館」。残念ながら水曜休館日にあたっていた。また次回。
北陸道で金沢市街地へ向かう。初日の宿は、娘のアイデアで金沢の町屋ステイを選んだ。いま人気の宿らしく、一ヶ月を通してほぼ毎日予約で詰まっている。なにせ一日一組限定の一軒屋貸切だから仕方ない。たまたま予定日に空きがあったのでネットで予約しておいた。
金沢駅から徒歩10分ほどの利便性のよい場所に、普通の人々の暮らしがあり、その路地裏の一軒を近代的にリフォームして宿として開放している。案内されないと普通の住宅とほとんど見分けがつかない、まったく自然な町屋の佇まいである。
リフォームして1年半だったか、内装のすべてが気持ちよく居心地がよい。小さな坪庭を居間、ダイニング、バスルームが囲む。塀を隔てて隣家である。
エントランスからの風景。調度品から照明まで、美しい演出に旅の高揚した気分が満たされてゆく。キッチンはIHコンロがあり、調理用具から食器まで、すべてが綺麗に整えられている。バスルームの浴槽の気持ちよさは特筆である。一日の旅の疲れをリラックスさせてくれるのに十分だ。
駅前の居酒屋で安い郷土料理の夕食を済ませ、ほろ酔い気分で投宿。次回の「いぬい庵」があれば、友達夫婦や我が子たちと利用したい。一夜限りの、素晴らしい金沢・町屋ステイだった。
「いぬい庵」の情報はこちらから。
2015/7/1 D7000+SIGMA10-20
ステキな旅行なさいましたね。目で楽しませていただきました。
zun さま
あと2話ほど、続く予\定です。