山里の美味は楽し

「但馬の食」を年間テーマに活動する但馬学研究会10月例会、今回はおなじみ「ドライブイン山里」での開催とあって、夫婦で飛び入り参加させてもらった。会によれば、今回の例会参加人数は過去最高だったとか。やっぱり美味しいものには皆さん目がない。
但馬学10月例会 題して 「山里の恵み」〜川ガニを食べる

少し遅れて入ったときには、みなさん茹ガニと格闘中。ほどなく釜飯の蓋が開き、1年ぶりに釜飯と再会した。食材は食堂の横を流れる竹野川で獲れた川ガニ。正式和名はモクズガニで、産卵のため海に降りる9月から11月にかけて「山里」のメニューに並ぶ。今シーズンは川ガニの収穫が少ないと聞いた。降雨量の少なさが影響しているのかもしれない。

カニの身や味噌をほぐして釜の中の飯と混ぜて食べておられたが、そのやり方は知らなかった。うどんも釜飯も、カニはカニだけで味わっていたけど、そうか、混ぜるんだ。今度は、といっても来年になるかも知れないけど、そのやり方で食べてみよう。

「山里」名物の川南谷(かなんだに)蕎麦。川南谷とは、ご主人が生まれ育った山村の地名。自然薯でつないだ口当たりのよい蕎麦は、絶妙の蕎麦汁とからんでストレートに美味しい。来月には新蕎麦が味わえる。

人心地ついた会場。この会のために貸切で店を提供して頂いた。窓の向こうは竹野川。電話連絡のためにちょこっと外に出た間にも、カワセミが青い残像を残して上流に飛んだ。

最後に栃餅ぜんざいが出た。年間を通してレギュラーメニューだが、栃の実拾いから灰汁抜きまで、手間のかかる食材だ。甘い香ばしさがご馳走。

ご主人の井上さんの講話を聞く。一人では寂しいからと、漁仲間の太田さんも助っ人に加わった。川の話、山の話、まさに山里の話だ。
茹でガニがそのままドデンとトッピングされた、あの挑発的な「川ガニうどん」を考案された経緯を聞いてみた。
「いやあ、自分で作って食ってみたら、これが美味かったんで出してみたんだ」
「ドライブイン山里」の美味しさのエッセンスは、山里に遊ぶ井上さんの、その遊び心にあるのだなと思った。店の体裁を奢るでなく、竹野川のほとりで地味な店を構える「山里」さん。そのドアを開けると、地元の常連の弾んだ声と、井上さんの「いらっしゃーい」の声がいつでも温かく、美味しいのである。
「ドライブイン山里」
定休日 毎水曜日 営業時間 10:00~19:30
豊岡市竹野町森本 TEL:0796-48-0310

2008/10/25 GX100

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