かわりゆく環境 日本生き物レポート 完結


宮崎学の「かわりゆく環境 日本生き物レポート」全4巻が完結した。初巻が出たときにこのBlogでも紹介した。終巻の「コンクリート壁のスズメ団地」は2008年3月31日に出たばかりだ。
このシリーズは自然界の報道写真家としてのレポート集であり、1冊ずつで完結するストーリー本ではない。現代日本の環境実体をフラッシュのように切り替えて次々に見せながら、シリーズ総体として大きなドキュメンタリを構成している。全4冊というボリュームには収まり切らない作者の膨大な取材データは、今後も私たちの前に問題提議として突きつけ続けられるだろう。
現代日本人、否、すべての先進諸国の人間が、日々の暮らしの中で何の疑問も覚えずにいることを、宮崎学のカメラアイが鋭く捉える。人の都合でどんどん変化し続ける自然環境の中で、ほかの生き物たちは否が応でも適応を余儀なくされ、それでもしたたかに生きている。人だけの視点から環境を見るのではなく、彼らから人間界へと目線を逆照射することで、私たちは多くの大切なことに気づかされるのである。
たくさんの人に見て、読んでもらいたいシリーズである。

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