仲間からの連絡で、現場に急行した。毎年、10月に限定的に観察できる希少な旅鳥。ここはアカアシチョウゲンボウの渡りのルートになっており、長旅の中継地として2、3日滞在する。大概10月の中旬以降の通過だが、今シーズンは半月ほど早めだ。越冬地は南アフリカというから、彼らの旅はまだまだ続く。
低い電線が好きで、採餌の合間の休憩によく使う。ここで観察するアカアシチョウゲンボウは、ほとんどすべてと言ってよいくらい、幼鳥または若鳥である。過去に一度だけ、美しい成鳥オスの観察事例があった。普通のチョウゲンボウより小さく、チョウゲンボウがベージュ系の白であるのに対し、本種はグレー系の白。目のまわり、くちばしの付け根、足が赤いのが特徴。幼鳥はこの赤の色が薄い。
飛翔姿は白と黒の細かい斑が美しく、超高速で飛びまわる。
採餌の前にはホバリングを繰り返す。空中でピタッと止まったまま、地上の獲物の動きを見る。捕捉すると一気に急降下する。
刈田のバッタを捕まえる瞬間。
バッタは彼らにとってスナック食のようなもの、何度も同じように捕まえては飛びながら空中で食べる。
白い見慣れない鳥が現れると、カラスや、今回はチョウゲンボウにちょっかいを出される。縄張りを持ちだしたチョウゲンボウにとって、アカアシチョウゲンボウの登場は気に入らないらしい。
アカアシチョウゲンボウを追い払おうとするチョウゲンボウ。
今回のチョウゲンボウは若オスのようである。尾の上面が灰色。
夕方、夕陽に染まり行く空の中、アカアシチョウゲンボウの飛ぶ姿はひと際美しく見えた。
2010.10.1 D7500+VR300mmF2.8