綾来の大冒険

2020年5月15日、綾部市で初繁殖したJ0174(うらら君)♂とJ0179♀の初めての子として孵化。J0320の番号があてられた♀である。右脚:赤赤、左脚:緑黒の足環を装着している。
7月16日に巣立ち、この写真は10日後の7月26に、綾部で撮影したものである。

巣から地上に短い時間おりて、帰巣するタイミングでシャッターを押した中のワンカット。

公募で綾来(あやら)と命名されたJ0320幼鳥は、8月には冒険の旅に出発する。大阪経由で三重県まで行ったことが目撃されたあと、なんと、父親の故郷、祖父母の待つ島根県雲南市で見つかった。おそらくであるが、三重県から雲南市に行く途中に、豊岡市の上空も通ったのではないか、ひょっとしたら、休憩のために豊岡のどこかに降りていたのかもしれない。そんなことを思いながら、コウノトリの長距離飛行の本能的な奇跡を感じる。

豊岡は、綾来ちゃんのおばあちゃんJ0051(ポンスニ)の故郷であり、福井市越前市生まれのおじいちゃんJ0118(げんきくん)が雲南に行く途中に立ち寄った場所。父親のJ0174(うららくん)もしばらく公開ケージに姿を見せたこともある。

この写真は本日2020年9月16日、県立コウノトリの郷公園の西公開ケージ内に入ってきた綾来ちゃんである。前日に六方田んぼ河谷地区で綾来ちゃんの目撃情報があり、10時の給餌時間に入ってくるのではと待っていたところ、案の定、やってきたというわけである。雲南市から豊岡市へは、昨日のうちにひとっ飛びで移動した様子である。

家族の足跡を辿るように、綾来ちゃんが雲南から豊岡にやってきた。渡り鳥たちにとって、旅の中継地を選ぶことは重要である。餌が十分にとれ、身の安全を確保できる場所。その一つが豊岡であり、西の雲南市もその一つである。コウノトリは日本では留鳥であるが、いまでもロシアと中国を行き来する渡り鳥である。そのDNAがコウノトリの長距離移動の行動を支えている。中継地を結ぶ移動ルートは、渡り鳥には本能的に認識されているものなのだろう。

職場からの帰り道、六方田んぼ百合地の田んぼで、綾来ちゃんを目撃した。ここはたくさんの若いコウノトリが集まる場所でもあり、仲間がいることで安心して立ち寄ったのだろう。

7月16日の巣立ちからちょうど2ヶ月目。大冒険中の綾来ちゃんは今豊岡にいる。しばらくはここで過ごすのかもしれないし、旅を続けるのかもしれない。

2020.9.16 D7500+VR300mmF2.8

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