2016台湾旅行記(その1)


ちょうど一年前の今日、Nさん夫妻と我が夫婦の4人は、おなじメンバーでの夫婦旅行としては初めての海外へと旅立った。Nさんの経営する会社の協力会社があって、古くから親交のある台湾を訪ねようと、かねてから相談していた旅である。二泊三日という短い旅ではあるが、現地の友人や知人を頼りに、濃い内容を盛り込んだプランはNさんが中心になって立てられた。特に我が夫婦は、まったくの予備知識もないまま、Nさんにすべてを任せ、ただ付いてゆくだけというものだった。
初日は移動と夜の食事会。二日目の丸一日をメインターゲットに置いての旅は、その二日目の早朝に、予期せぬアクシデント発生で思いがけないことになってしまった。Nさんがホテルの周辺を散歩中、青信号の横断歩道を渡っているとき、歩行者に気づかず突っ込んできた車に運悪く跳ね飛ばされたのだ。頭部を強打し、現地で救急入院治療を経て帰国したが、その後も長い間、Nさんは事故の後遺症と戦ってきた。1年が経ち、ようやくNさんも健康を取り戻し生活も安定してきたことで、私もこの旅の記録を残そうと、ようやく思い至ったのである。
それは、私たちのこの旅の思い出を固定する作業であると同時に、滞在中お世話になった台湾の友人や知人を始めとする多くの方々へ、私たちから感謝の気持のお伝えしなければならないと思うからである。

関空からのチャイナ・エアーラインはB747のジャンボジェットだった。JALやANAではすでに使われなくなった機体を懐かしく感じ、安定した乗り心地のよい空の旅は、あっという間に私たち4人を雨の台湾に運んでくれた。着陸態勢に入った窓からは、日本と似た田園風景が広がっていた。台湾ではこの時期は雨季であり、一面が水っぽい風景であった。

空港にはNさんのパートナーのWさん家族が迎えに来てくれており、ベンツのワンボックスに乗って夕刻の台北へと向かった。初めて感じる台湾の街、台湾の匂い、台湾の人柄。


台北でも有名な台湾料理店「欣葉」に招待された。どの料理も素晴らしく美味しかった。香辛料が強すぎるということもなく、味付けは日本人の好みにとても合っていた。肉も魚介も、本当に美味しかった。1年経って、その時のメニューの数々が鼻腔の奥で蘇ってくるようだ。

紹興酒も美味しかった。美味しい料理と共についつい盃が重なり、私たちは心ゆくまで晩餐を楽しんだ。

食事を終え、外に出て店のエントランスを写真に残す。

余韻に浸りながら、4人でホテルのラウンジでカクテルを傾ける。女性ボーカリストが、エモーショナルに歌い上げるステージの周りでは、この夜のひとときを過ごす人々のざわめき。グラスの音。

夜が更け、部屋の窓越しに雨の台北の街明かりがぼんやり瞬いていた。
2016.3.10 P340

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