邂逅の森


gakuさんがtwitterで呟いた文庫本の名前、それが「邂逅の森」との出会いだった。図書館で借りた「クライマーズ・ハイ」がもひとつ消化不良だったので、読み終える前に次に読む本と決めてネットで注文した。
予備知識なしに読み始めた。舞台は秋田・山形。大正・昭和のマタギの話である。猟師物としては「羆撃ち」に継いで2冊目。「羆撃ち」がストイックな孤高の猟師のモノローグなら、「邂逅の森」は人間臭いマタギ衆をめぐる物語。
人間界の下世話ごとと、森から命を頂く畏敬の念と、その間を行き来する一人の男の人生が綴られてゆく。壮絶なラストシーンは圧巻である。カミさんの力は畏れ多いものだなと、「山の神」に思いを馳せながら読み終えた。私が今年読んだ本の中ではベスト1なんじゃないかな。文句なしに面白い小説である。
2004年発刊。第17回山本周五郎賞、第131回直木賞をダブル受賞。

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