最後の父の日


6月20日(土)、1日早い父の日、昨年と同じように両親をドライブに誘った。R178を西に向かい、浜坂の田君川でバイカモを見る。雨が少なく、川も干上がる寸前。それでも、花はまだたくさん付いていた。

さらに西へ向かう。海は凪いでいる。居組の新しいバイパストンネルを抜けると、すぐに鳥取の東浜だ。カキツバタの季節は終わっていたが、一度行ってみようということで、少し迷いながら岩美町牧谷の群生地を初めて訪ねた。

昼食は鳥取の摩尼寺門前で山菜料理。私は初めてになるが、あとの3人はそれぞれに昔来たことがあるという。道を挟んで二軒の店が競い合っており、道すがら、右が美味しかったの、左が美味しかったの、結局結論のでないまま駐車場に車を停めた。
さっそく右の店の客引きが寄ってきたが、なんとなく、左の店を選んで二階に上げてもらった。私たち以外に客はいなかった。窓越しに右の店が見えるが、たくさんの客が入っている様子だった。やっぱり右が美味しいのかな?
しかし、こちらで出された山菜料理はどれも美味しかったし、なにより、家族4人だけでゆっくり寛ぐことができたことで、何の不満も無かった。ちょっと山菜ご飯が俄か炊きだったのが残念だったかな。

食後、足の悪い父を座敷に残し、3人でお寺に参ってきた。300段を越える階段の往復はちょっと足に来る。店の前で記念写真を撮った。いつになく嬉しそうな父が写っていた。いい父の日になったねと、帰宅後、妻と話し合った。

それから5日後の6月25日(木)、早朝から体調の異変を訴えた父は、緊急のPTCA治療を受けるも、その日の夜23時35分、急性心筋梗塞のため永眠した。あまりにあっけない父の死であった。しかし、教育者であり、クリスチャンであった父らしい、実に潔い逝き方だったと思う。
父の臨終に際し、気の効いた別れの言葉があったわけでなく、遺言を残したわけでもなかった。思えば、父のこれまでの生き方そのものが、その代わりだった。私に対しては、名づけてくれた「信」という名前そのものが、父からの遺言だったように思う。
享年80歳。生前の父と親交のあったすべての方々に、感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
※父の日のトピックで記事を上げるつもりで準備していたのに、こんなことになるとは夢にも思わぬことでした…

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6 throughts on "最後の父の日"

  1. 「最後の父の日」というタイトルにもしかしてと拝読しました。
    摩尼山での楽しい思い出とともに旅立って行かれたのですね。
    お父様のご逝去、心よりお悔やみ申\し上げます。

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  2. お葬式にはいけなくてすみませんでした。
    前夜式で見た遺影は、高校卒業以来31年を経て、私の記憶とは全く違った、優しさあふれるおじいちゃんになった先生のお顔でした。
    あの写真もドライブの途中の何気ないショットなのかな・・・。
    いつもさりげなく親孝行されていて、見習わなければと思っていた矢先のことで、本当に驚き、とても悲しい出来事でした。
    ご冥福をお祈りいたします。

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  3. たじまもりさん、御愁傷様でした。
    お元気でいらしただけに本当に思いがけない事だったでしょうね。
    最後に楽しい家族ドライブの思い出が持てたのは何よりでしたね。
    心よりご冥福をお祈りいたします。

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  4. いい父の日の思い出が最後に残せたのはなによりでしたね。
    うちの親父もいまガンの闘病を続けていますが、今まであまりいい思い出は残せていません。
    昨日も会社を休んで病院へ送っていったのですが、その道中のほんの少しの時間でも、私の車に乗ってドライブできることが嬉しいようです。
    そんな些細なことが、今の親父には良い時間であり、私にも思い出として残されていくのでしょうね。
    親孝行は日頃から心がけていないと、悔やまれてしまいますね。
    お父上のご冥福を心よりお祈り致します。

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  5. 心よりお悔やみ申\し上げます。
    我が家の父母も急なことがおきてもおかしくない歳になりました。
    良い思い出を残して逝かれたとのこと、ブログを拝見し、私もそうあらねばと心しました。

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  6. みなさん、お悔やみをありがとうございます。
    ▼たぬきさん
    父は教職初期の10年間、柏原高校で教壇に立ちました。小学2年生まで、私も市島で過ごしました。父に連れられて登った三尾山の記憶は今でも残っています。いつか登ってみたいと思っています。
    ▼Y.B.さん
    ご予\定のあるなか、来ていただきありがとうございました。大した孝行はしませんでしたが、いつも妻からの父への思いやりに助けられました。
    ▼ずんさん
    姪の子が自宅前で老人の運転する車にはねられ、重症を負う事故があってから、父はきっぱり運転を止めました。時々ドライブに誘いましたが、面と向かっては嬉しさを隠しているような人でした。
    ▼stmaさん
    息子というものは、娘とは違った父親との接し方しかできないものですが、口には出さないけど、息子と過ごす時間は嬉しいに違いありません。よい時間を共有してください。
    ▼正右衛門さん
    長患いすることなく、あまりにあっさりと死んでしまったので、家族としては心残りですが、父らしいやりかただと納得しています。ご両親、いつまでも大切に。

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