5月の終わりから、突然読書病にかかった。テレビが壊れて、予備の小型テレビで見るバラエティはいっそうチープであり、毎日繰り返される暗いニュースは、小さな画面の中でさらに暗くなった。小説の世界への逃避行動が起こった。1ヶ月と少しの間に10冊の文庫を読んだ。2人の作家に集中して。
安部公房と村上春樹が私を呼んだ必然は、自身の中で肯定すべきことのように思われた。導かれるように、この二人の作品に行き着いた。安部公房の閉塞感、村上春樹の喪失感。しかし、実際のところろ、シュールな世界に浸りすぎてかなりくたびれてしまった。
「スカッとさわやかコカ・コーラ」みたいな、ハリウッドのアクション映画のような、明らかにハッピーエンドが初めから約束されたストーリーの、その約束のカタルシスへの飽くなき行進スタイルに、手にする作品をしばらく変えてみようか。でも、なんだかもう中毒になってしまったような気がするし。
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