戦慄のクリムゾンライブ


娘婿のT君が、一緒に行きましょうとチケットをとってくれた。私好みの音楽をチェックするうちに、T君もどっぷりプログレッシブ・ロックにはまって行き、最近では私以上にその手を聴いている様子。娘婿と義父の男同士2人のキング・クリムゾン大阪公演初日。軽くひっかけた後、夕暮れの土佐堀橋を歩いて渡る。

ライブ会場はグランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)5Fメインホール。収容人数2,700人超の大ホール。King Crimson Uncertain Times Japan Tour 2018、結成50周年を記念する日本縦断ツアーライブである。

イベントサインにキング・クリムゾンの案内。みな一様に、ここで立ち止まってスマホを向けている。オーディエンスの多くが中高年で、しかも圧倒的に男性が多い。今夜はみな、半世紀前の青少年の自分に戻るのだ。

早めに入ったら、グッズ販売に長い列ができている。会場入り口のチェック体制がことのほか厳しく、一切の撮影機器、録音機器の持込みはできない。開演前のアナウンスでロバート・フリップが言った。あなたの目で撮影し、あなたの耳で録音してください。

18時開演でアンコール込みで21時終演。間に20分の休憩をはさんで3時間たっぷりの演奏は、一切のMCなく淡々と進んでゆく。緩急織り交ぜながらの演奏プログラムは、特にステージ前列に並ぶ3ドラムスから叩き出される圧倒的な音圧が体を突き抜ける。
1968年結成のキング・クリムゾンは、翌1969年リリースの「クリムゾンキングの宮殿」で衝撃のデビューを果たす。今年で50年のキャリアを積み重ね、幾多のメンバーチェンジを繰り返しながら、常にプログレッシブであり続ける72歳のリーダー、ロバート・フリップの、その姿はもはや神々しくもある。今回の来日メンバーは8人構成で、彼らはダブルカルテット・フォーメーションと称している。3ドラムスとトニー・レビンのベースが重厚な正確無比の変拍子を刻み、フリップが神経質なギターワークをかぶせ、メル・コリンズのブラスが鳴り渡る。
最近の曲はよく知らなかったが、そんなことはどうでもよく、すべての演奏はタイトでスリリングでドラマティック。しかしながら、多感な青少年時代に愛した「エピタフ」のイントロが流れるとウルウル来たり、「宮殿」が始まるとウォー!と他のオーディエンスとシンクロしたり、アンコールの「スターレス」まで存分にクリムゾンの演奏を楽しんだ。
厳しく制限されたステージ撮影は、アンコール終了後にトニー・レビンがステージ上から自らデジカメを客席に向けた瞬間に解禁。スマホ撮影のみが許されたので、写りの悪いiPod Touchで数カット撮った。右端の白い人がフリップ。左端からメル・コリンズとトニー・レビン。
以下、12月9日大阪公演のセットリスト
第1部
Larks’ Tongues In Aspic Part 1
Neurotica
Suitable Grounds for the Blues
Lizard(Bolero, Dawn Song, Last Skirmish, Prince Rupert’s Lament)
Discipline
Indiscipline
Epitaph
Larks’ Tongues in Aspic Part 4
Islands
第2部
Devil Dogs Of Tessellation Row
The ConstruKction Of Light
Peace – An End
Easy Money
Moonchild
The Court of the Crimson King
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind)
Meltdown
Larks’ Tongues In Aspic Part 5 (Level Five)
—encore—
Starless

冷めやらぬ余韻を夜風でクールダウンさせつつT君と近くのホテルに戻り、遅い夕食へと繰り出す。

ホテルのフロントで、「ごりごりの大阪かどうかは分かりませんが」と教えてもらったお好み焼きに向かった。軒先の止まり木的店構えは、日曜夜10時近くでも結構賑わっていた。

軒先のビニールで囲まれたテーブル席で、おでん、トンペイ焼き、モダン焼きをT君とシェアしながら生ビール2杯。半屋外の席でも、足元の石油ストーブがガンガンついていて快適。頭寒足熱モードで大阪を味わった。

花乃井スーパーホテルは市内唯一の天然温泉をうたっており、地下に大きな温泉施設を併設していた。熱いお湯に浸かりながら、クリムゾンの酔いとビールの酔いがフラッシュバック。コンサートチケットの手配から宿の手配まで、T君の思いやりに感謝しながらベッドにもぐりこんだ。

朝はゆっくりの出発。JR大阪駅まで歩くことに。途中よさげなカフェを見つけ、予備知識なしに入店。あとで調べて結構人気のチェーン店North Shore、ここは先月オープしたばかりだという。

時間が遅かったのでパンが普通のトーストだったのが残念だったが、たっぷり野菜のサラダを盛ったモーニングセットは美味しかった。

道中のフェスティバルホールをちょっと覗いてみる。今回のライブツアーに参加しているメル・コリンズが在籍していた頃の、キャメルのライブを観たのがここだった。あれから40年以上の時が流れた。

大阪駅では電車の時間待ちでグランフロント大阪のビルに立ち寄る。センターコンコースでクリスマスイルミがゴージャスに輝いている。

エレベーターで上まで行って展望。発展を続ける「うめきた」を眼下に望む。

北から見たJR大阪駅ビル。

福知山で娘と妻グループに合流。T君が大阪から予約しておいた「柳町」という和食料理店で会食。T君は京地どりの親子丼。

妻は旬替わり定食。

娘と私は鴨すきを囲んだ。カモ肉の薄切りと九条ネギの絶妙なハーモニーは、まさに「鴨葱」。古民家再生の素敵な空間で、美味しいお昼を頂いた。福知山で素敵なお店を見つけた。ここで東に向かう娘夫婦を見送り、私たちは北へ車を出した。
娘と妻は女同士の旅行を楽しみ、娘婿と私は男同士クリムゾンに戦慄した。娘夫婦から私たち夫婦への、素敵なクリスマスプレゼントだった。ありがとう。
2018/12/9-10 D500+18-400mm, 10-20mm

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