2年ぶりのジオカヌー


NPO法人但馬自然史研究所の本庄四郎所長の指導のもと、拠点である宇日(うい)基地を発着点にジオカヌーインストラクター更新講習が行われ参加した。まず所長の講義を聞いた後、ゲストをガイドする手順に従いインストラクター同士でロールプレーイング。装備をチェックし海にエントリーしようとして、すでに朝の宴が始まっていた舟屋の漁師さんに声を掛けられて焼き立てのサザエを頂いた。うまい!

無風のベタ凪ぎ。このエリアでこのコンディションはなかなか無いことだ。遠ざかる猫崎半島を背に、東へパドリング。

隣の集落の田久日(たぐい)の湾へ。透明度の高い海底にヒラワツナギソウの蛍光カラーが煌めいていた。美しい。

ここには緑色凝灰岩(グリーンタフ)が露頭しており、独特の景観をみせている。

このコース最大のスペクタクルは、宇日流紋岩の流理。うねりと渦巻きの3D構造帯は、但馬海岸誕生の歴史の語り部のひとつである。ダイナミックで美しい岩の芸術に圧倒される。

ラドン岬(ローカルネーミング)を越え、

コウノトリ岬(ローカルネーミング:平井ノ鼻と呼ばれている釣り場)を超えると、向こうにオットセイ岩、その奥に日和山の竜宮城が見えてくる。丹後半島の依遅ヶ尾山の特徴的な山容も遠望できた。

折返しポイントの岸に上陸してブレークタイム。ここにあるクランク状のクラックが入った岩が目を引く。

鳥の姿もいくつか。トビ、ウミネコ、ミサゴ、キビタキ、セグロセキレイ、クロサギなどチェック。このコースでは、カヌーの真横にウトウが潜水浮上してきたという、所長の話も聞いた。

折り返してからも無風の凪が続く。ブレードを入れる水音が静寂を揺らす。猫崎の「仰向けQP」が次第に大きくなる。

ゴール間際、宇日の「舟隠」の洞窟に案内してもらう。平家落人伝説の残るジオエリアである。

2時間あまりのロングを漕いでゴール。漁師さんが、待っていたようにムラサキウニを割って振る舞ってくれた。塩水でチャチャっと洗って黄色い身を吸い取れば、濃厚な海の滋味が口に広がった。本庄所長と地元住民の方々の信頼関係の上に、このエリアのジオカヌーが成り立っていることをしみじみと思う。私たちインストラクターもその信頼関係を大切にしながら、このエリアのジオロジーやらエコロジー、さらにソシオロジーも含めて、但馬自然史研究所のジオカヌーをチョイスしてくれたゲストの皆さんに、その魅力を伝えていけたらと願っている。
昨年はブランクがあったが、今シーズンは私もここでお手伝いする機会があるかもしれない。ぜひ一緒に楽しみましょう。
2018/6/24 PENTAX WG-3

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です