IL Bacaro


グルメでもない私がグルメな話題を書くのもおかしいけど、先日の東京出張のおり、美味しいお店で食事を楽しんだので記念に残しておきたい。
新生活を始めた娘との東京初デートを目論んだ私は、東京通の地元の友人に美味しいお店を紹介してもらった。我が家のことをよく知る友人が選んでくれたのが、気取らないイタメシ屋ということで新宿三丁目のIL Bacaro。イル・バーカロと読む。ベネチア料理とお店のカードにはあったけど、私にはイタリア料理の郷土色を区別できようはずもない。とにかくイタリア料理屋さんなわけである。
友人が詳しい情報をメールでくれたので、それをプリントアウトして持って行った。おかげで、初めての店には迷うことなく到着。地下2階のちょっと寂れた感じの一画にあったけど、ドアを開けるといきなりイタリアンな空気。まだ6時半にもなっていなかったので客は殆どいない。カウンターバーを右に折れたレストランフロアの窓際の席に通された。私たちの奥に一組のペアが食事をしているだけ。

壁に張られた「今日の魚」に目をやりながら、メニューに目を通す。ディナーコースに決めた。前菜、パスタ、メインディッシュ、デザートの4カテゴリのそれぞれで自分の好みの料理を選ぶシステム。娘の選んだのは、生ハムのサラダ→ラザニア→牛ステーキ→チョコレートケーキ。私はといえば、イイダコのサラダ→カルボナーラ→今日の魚「カサゴ」→テラミス
ハウスワインの白1/4デキャンタを頼んでグラスに一杯ずつ。TOEFLの試験があって朝から何も食べていないと言う娘の食べっぷりが気持ちよい。お互いのお皿を少しずつ交換しながら、美味しい食事と親子の会話をゆっくり楽しんだ。ワインもとても美味しかった。いやあ、娘と二人のこういう時間って初めてだけど、いいもんだなあ。

紹介してくれた友人に感謝しながらお腹も心も充分満足して店を出た。夜8時過ぎ、新宿の街はこれからいよいよ賑わいを増してゆくようだった。
「お父さん、あそこに月!」
娘が指差す先にはネオンに縁取られた狭い空にポッツリ浮かんだ三日月があった。同じ月が闇に沈んだ郷里の山を照らしていることも忘れるな。

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