本能を直撃する隠し味「いしり」


この間の北陸ドライブ旅行で、能登の民宿「ふらっと」でお土産に買った「いしり」が、現在我が家のブームとなっている。「ふらっと」でのイタリアン・ディナーでは、ほとんどといってよいくらいに、この「いしり」の隠し味が仕込まれていた。その風味と旨味は、料理をひじょうに特徴的に際立たせる、魔法の調味料といってもよい。
我が家のいつもの料理に、どのように「いしり」を使って行こうかと試行錯誤してゆくうちに、これはあらゆる料理に万能であることに気づく。焼物にちょこっと垂らす、煮物に少し多めに垂らす。瞬間、鍋から香り立つイカ臭さは、脳みその本能的な部分を直撃してくるのだ。

そもそも「いしり」とは、能登地方伝来の魚醤のこと。「ふらっと」の「いしり」、原材料はイカと塩のみ。イカの内臓を発酵熟成させた独特の醤油。旨味成分をたっぷり含んだ調味料なのである。くわしくは「能登の魚醤油いしり物語」サイトで。
ふらっとのいしりは中でも特別の存在であり、女将のお父様の秘伝を受け継いで作られている。この「いしり」がベンジャミン・フラットさんのイタリアンに磨きをかけ、多くのビジターを魅了している。
能登地方に伝わる伝統の味が、但馬の食と出会ってハーモニーを奏でる。日本の素晴らしい食文化に、あらためてリスペクトするのである。
2015/7/25 P340

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