

ドイツがまだ東西に分かれていた頃、西ドイツ製のLAMY2000というブランドの筆記具に惚れ込んで、シャープペンシル、ボールペン、万年筆と揃えた。万年筆を使う頻度はごくまれではあったが、シリーズで持つ喜びで買ったものだ。シャープペンシルは特によく使った。パソコンが普及する前のエンジニアとしての私は、用紙に鉛筆で書くことが仕事だった。仕様書だったり、回路図だったり。LAMY2000のシャープペンシルは太巻きで、書き続けても疲れ知らずだった。
ボールペンもシャープペンシルとほぼ同じ外形で、書きやすさは抜群だった。シャープペンシルもボールペンも、おそらく購入から40年以上経った今でも、現役の筆記具としていつもペンケースの中に入っている。ボールペンのインクの進化により、抵抗感のない滑らかな書き味を実現してくれる三菱鉛筆のJETSTREAMシリーズがベストセラーだ。ホームセンターで100円ほどで買えるJETSTREAMボールペンの書き心地は素晴らしい。フィールドで調査用紙に記録するときはいつも、車に常備しているJETSTREAMだ。
JETSTREAMの書き味をLAMY2000で実現できたら最高なのにと思ってきたが、その夢のようなコンビネーションが現実のものとなった。三菱鉛筆がドイツのLAMY社を連結子会社にしたことで、LAMYのリフィルにJETSTREAMのものが用意されたのである。LAMY2000ボールペンのリフィルはM16という型番で販売されているが、これと互換のあるJETSTREAMの0.7mmリフィルM17Fがこのたび発売となった。
さっそく購入して入れ替えてみた。LAMY2000ボールペンでJETSTREAMのリフィルを使うのである。文句なしに最高の書き心地である。LAMY2000のグリップ感の素晴らしさに、JETSTREAMの滑らかな書き味が加わったのだから、もう本当にこれ以上な無いと言ってもよい最高のボールペンの誕生なのである。
LAMY2000のボールペンを買った当時でも、5000円~6000円はしたと思う。今では2倍以上の定価がつけられているが、愛用し続けてきた甲斐があったというものだ。ボールペンで紙に書くという行為は、この先も廃れることはないだろう。LAMY2000ボールペンとJETSTREAMのコラボは、書くことの好きな私にとって、まさに夢のような出来事であり、さらにこのボールペンへの愛着が揺るぎないものとなった。