標高900m付近の山中で、粘菌友の会(但馬粘菌クラブ)による観察会が計画され、勉強のため参加させてもらった。このあたり、冬は2mを越す深い雪に埋もれる。そんな場所に、好雪性の粘菌がひっそりと暮らしている。雪解けの早春や積雪前の晩秋に出会えるという。
会の代表I氏は、この山域を巡る林道に何度もアプローチし、目的の粘菌発見のチャンスを待ち続けた。そして、ようやく念願のルリホコリの一種に出会うことができたのである。そんな努力の結果を快くシェアしていただき、今回の観察会となったのである。
湿った環境のブナ倒木、長年そこに横たわっていたであろう、厚い苔に覆われた中にキラキラと輝く直径1mmから2mmの宝石を見せてもらった。LEDのペンライトで丁寧に苔や樹皮の窪みを照らし、その輝きを見つける作業は、これまで夏の粘菌探しとは違う奥深さであった。夏の粘菌は、発生していれば、肉眼でも容易に見つけることができる大きさであるが、好雪性粘菌の小さな宝石を見つけるには、それなりの「道具」と「感」が必要なことも、今回の観察会で学んだ。
ルリホコリの仲間がたくさんあることも今回知ったので、今後は、自力で見つけられるよう、山に入ったときには自身の粘菌センサー感度を上げて行こうと思う。
粘菌の撮影は、現地でTG-6によるものであるが、最後の芸術的な美しいヒモルリホコリの写真は稲葉一明氏の提供による。デジタル一眼レフのマニュアル深度合成という、手間のかかる超マニアックな方法で撮影されたものである。
TG-6の自動深度合成写真とのレベルの差はあまりに歴然。写真の美しさに惹かれ、直径1mmの美しき粘菌(変形菌)の世界へ興味を持つ人がさらに増えれば、但馬の粘菌界もさらに面白くなって行くだろう。粘菌友の会へ、あなたもぜひ。豊岡市立コウノトリ文化館では、稲葉一明氏によるキノコ粘菌観察会が定期的に開催されているので、気軽に参加されるとよいだろう。
2024.11.13 TG-6