日曜日の午後は雨になった。自宅前に積みあがった雪山を崩しては道に撒く。 上昇した気温と雨が、あっというまにそれを解かしてゆく。みるみる雪山は小 さくなってゆき、冬が遠ざかってゆく。 ヤマセミのポイントに向かう。ラッキーなことに、谷の入口で若い♂が待ち伏 せしているのに出くわした。こちらも車の窓を開けて待ちに入る。 昨日に引き続き、機材のチェックを兼ねての観察だ。あいにくの雨と川霧が立 ち撮影条件が悪い。トップ写真はNikon1V1+ED600mmF5.6。窓枠サポートでブレ 増産であるが、この悪条件でこれだけ撮れたらよしとしよう。レンズを300mm に換え、さらに1.4倍のテレコンをかませて撮ってみる。作例1*、作例2*。 三脚なしの撮影だから、VRが効いてくれる分こちらのほうが好結果。 すべてEVFでの撮影だが、マニュアルフォーカスでのピントの山もそこそこ掴 める。問題は電池の消耗が早いこと。これはミラーレス一眼の欠点の一つだろ うと感じた。肝心なところで現場で電池切れとなったので、以降の撮影は従来 のD90で行う。 1時間ほど経っただろうか。ヤマセミに緊張が走った。沢をじっと見つけたか と思うと一直線に水中に飛び込んだ。 茶色い魚をくわえており、枝に持って上がるかと思ったが、そのまま渓の中に 留まったのでそちらにレンズを向けた。ただでさえ暗い状況だったのがさらに 悪条件となり、ISO1250でシャッターを切り続けた。 捕まえたのはカジカ。川底に同化してしまうほどの擬態名人を、高い位置から ヤマセミは確実に狙ったのだった。こちらのカットでカジカの特徴がわかる。 しばらく空中に晒して弱らせたあと、石に数回叩きつけてとどめをさした。 獲物を食べ終わると一風呂浴びた。風呂から上がると奥まった枝に飛び上がり、 しばらく「ケッケッ」と鳴いたあと上流へ消えた。 円山川の河口に出ると、仲間がミサゴにレンズを向けているところだった。 ミサゴは旋回とホバリングを繰返しており、捕捉した獲物を襲うタイミングを 計っている。空中で動きが一瞬止まり、そのまま急降下でダイブイン。慌てて レンズを向けた時には掴んだ獲物を引き上げるところだった。大きなコイを重 そうにぶら下げて、円山川を越えて飛んで行った。 湿地の中で潜水を繰返す1羽がいた。ミコアイサ♀だった。前から。よく潜る 割りに漁は上手くゆかない。やがて小さな魚を捕まえた。ハゼの仲間のようだっ た。 雨の午後、3種の野鳥の魚獲りを続けざまに観察した。それぞれのやり方で、 それぞれの獲物を捕まえる。生きるための当たり前の技術。 【撮影データ】 04/Mar/12 D90+VR300F2.8x1.4,VR18-200 *Nikon1V1+VR300F2.8x1.4,ED600F5.6 |