トップろっぽうフィールド日記>このページ

オジロワシのお年玉


オジロワシ幼鳥 (タカ目タカ科/White-tailed Eagle)
正月休み最終日、仲間は今日から出勤。遅い朝食をとろうとしていると、仲間
の一人から緊急コール。オジロワシ飛来の未確認情報だった。指示された場所
に向かうと、入れ違いに第一発見者のW氏の車とすれ違う。川の対岸を指差し
て居場所を教えてくれる。先行到着していた仲間と情報交換。初認時には川べ
りの杉の木のてっぺんに居たのが、一度飛んで山の斜面の木に引っ込んでしまっ
たとのことだ。

それでも、あきらかに大きな白っぽいワシを肉眼でも十分に捉えることができ
る。アップで切り出したオジロワシ幼鳥、私にとって初めて見る鳥である。
仲間が仕事に戻ったあと私一人で観察を続ける。

カラスがオジロワシに絡んできた。遠巻きにしていたカラスがオジロワシに近
づきしきりにモビングを仕掛ける。気弱なノスリはカラスのモビングですぐに
追い出されてしまうが、さすが大物である。オジロワシは動じることなく居座
り続けた。もうワンシーン。カラスと比較すれば、オジロワシの大きさがよく
分かる。

やがて、頭掻きや毛繕いを繰り返すようになって、動きが活発になってきた。
バランスを崩したときにチラっと見えた足と腰のあたり。

糞を放出し、飛び立ちの気配が近い。手持ちでフォーカシングを続ける腕がし
びれてくる。飛んだ!(トップ写真) 大きな翼をゆっくりしたストロークで
振り下ろすが、飛翔速度は思いのほか速くフォーカスが追いきれない。あっと
いうまに遠ざかる後ろ姿を見送るばかりだった。

オジロワシ幼鳥は当地でも過去に観察例があるが、非常に稀な鳥である。今回
車で通りすがりに見つけたW氏の観察眼は大したものである。遠目には地味な
鳥だから、大きさに意識が向かなければトビと思って見逃してしまうところだ。

山を回りこんだところで見失い、飛んだ方向に車を走らせてみたが再確認には
到らず。カラスと空中戦を繰り広げていたタカを、最初はオジロワシかと思っ
て撮っていたが、トビと分かってがっかり。

しばらく川沿いで捜索を続けてみる。出石川ではカワアイサが相変わらず駐留。
円山川中流域にはカモが集まっていた。もうワンカット。

円山川下流域も一部捜索してみたが気配なし。朝の晴天はすでに失われ、雪が
強まりだした。その雪の中を2羽のコウノトリがソアリングしていた。
さて、このオジロワシ、再びここで会うことができるのか、すでにどこか遠く
へと移動していったのか、今後のフィールド観察を待ちたい。

ちなみに、オジロワシは国の天然記念物で、環境省の絶滅危惧IB類(EN)に分
類される。成鳥まで6年ほどかかるといい、幼鳥時代の尾は白くない。

【撮影データ】 04/Jan/12 豊岡市 D90+VR300F2.8(x1.4)