一週間ごとにスズミグモの成長の様子をチェックする。腹模様は前週よりさら に赤味を帯びてきた。なによりも全体的に大きくなった。2週間前の大きさと 比べると成長ぶりがわかる。ドームも大きくなり、さらにおこぼれを狙った別 のクモが、ドームを囲むように網を張っている。 日曜日は朝から山に入る。ウバユリの開花にタイミングよく当たった。花は緑 から白へのグラデーションが美しく、長い花冠に、次々とハチが潜り込んでは 蜜を集めている。 路上をモソモソと歩く緑色のイモムシがいた。すでに熱を帯びたアスファルト に腹ばいになってオオミズアオ幼虫を撮る。オオミズアオは大型の美しい蛾で あるが、幼虫時代の鮮烈な緑色も美しい。枝に止まらせてしばらく遊び相手に なってもらう。下から緑頭巾の顔面。 法面の水場で大休憩。冷たい山水を沸かしてコーヒーを入れる。下界はすでに 30℃を大きく越えているが、ここは25℃をキープしている。ソロのバイク 親爺が通りがかり、この林道の行き先を訊ねた。親爺の目指す方向は逆である ことを教えると、手を上げてUターンして行った。 山水で顔を洗う時、岩の上にヤマアカガエルを見つけた。水しぶきを浴びなが ら、しばらく魚眼レンズで格闘。最接近時のヤマアカガエル。近似種のタゴガ エルとの識別は腹を見るのだが、撮影しているうちに手の届かないところに移 動してしまった。タゴガエルだったかもしれない。 ブナ林ではエゾゼミの合唱が最盛期を迎えている。虫屋だった亡き父は、エゾ ゼミの声を「バリカン」と言って教えてくれた。抑揚のない連続した機械音は 確かに電気バリカンのようだ。ブナ林に何十人もの床屋がいるようなエゾゼミ の生息場所でも、観察のために車を降りるとピタリと声を潜めてしまう。双眼 鏡で丁寧に木を探してみても、エゾゼミの姿を見つけることができない。忍者 のようなセミだ。 アカショウビンの繁殖地でエゾゼミを探していると、少し離れたブナの幹の上 に赤いセミを見つけた。一旦鳴き止んだあと、再び鳴き出した声は紛れも無い エゾゼミだった。このセミはアカエゾゼミ。但馬にはエゾゼミ、コエゾゼミ、 アカエゾゼミの3種が生息しており、鳴き声だけでは3種の識別は難しい。 今一斉に鳴いているエゾゼミは3種混交ということになるだろう。 法面にはヒヨドリバナが咲いているが、飛来する蝶はもっぱらアサギマダラ。 ありきたりの写真ではなく、飛翔写真をと狙ってみるが、まったくうまくゆか ない。鳥は動きが読めるけど蝶はランダムに飛び回るので、300ミリレンズ では追従できないのだ。なんとか見られるのが止まる寸前のカット。飛びモノ が撮れない腹いせに限りなくフレーム一杯のアサギマダラを撮って紛らわす。 下界に下りると、車の外気温計は38度を示している。実際は1〜2℃低い値 だろうが、車外にでると息苦しいほどの熱気である。六方田んぼ百合地巣塔で は灼熱の子育てが続いている。 先週末はミンミンゼミが鳴き出し、この週末はツクツクボウシが一斉に鳴き出 した。8月8日は立秋。夏も後半戦に入った。 【撮影データ】 06-07/Aug/11 D90+VR300F2.8,SP90MACRO,SIGMA10mmFE, DX35mm |