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コチドリ誕生


コチドリ (チドリ目チドリ科/Little Ringed Plover)
7月3日に確認した土砂置場のコチドリの巣。周りで重機が一日中動まわる中、
親鳥は無事3羽のヒナを孵した。2羽の孵化を確認したのが7月14日夕方。
翌7月15日夕方には、残りの1卵も無くなっていた。いずれもヒナの写真を
撮れずじまいで、気になっていた。

最初の孵化から3日経った7月17日、38℃の猛暑の中、現場の観察に出向
いた。土砂を除去したエリアは、周りからみれば見下げの湿地になっており、
車の窓越しに観察を開始してすぐ、小さなヒナがこちらに走り寄ってくるのを
確認した。

巣のあった場所とは、作業道を越えた反対側に位置し、50mは離れている。
ヒナは生まれてすぐに、作業道の法面を駆け上がり、反対側の法面を駆け下り
て湿地に落ち着いたと思われる。これが生後3日目、あるいは2日目のコチド
リのヒナである。大人の親指の先くらいの小さな体に、不釣合いなほど大きな
足である。コチドリは孵化直後に巣を出て、親に見守られながらすぐに自活の
道を歩む。飛べないから、足だけが頼りである。離巣性のチドリに共通した体
の適応である。

めったにないチャンスなので、ヒナの写真を近くで撮らせてもらうことにする。
動き回っている場所を目で確認し、法面をおりて湿地に入ると、じっとうずく
まって地面に同化しているヒナの姿は、まったくといってよいほど分からない。
こちらが動くのをやめて姿勢を低くじっとしていると、ヒナが再び走り出すの
でようやく見つけることが出来た。身を潜めるコチドリのヒナ。一瞬のスキを
突いてヒナは一目散に逃げて行った。親鳥はヒナから離れたところで大きく鳴
き、偽傷行動で私をヒナから引き離そうと努力していた。

車に戻って車内から観察を続ける。ヒナは水中でも平気で移動する。散ばって
いた2羽のヒナが合流し、後を追うように3羽目のヒナが右から近づいてゆく
のが見えた。これで3羽のヒナの無事が確認できた。親鳥の後ろに付くヒナ。

アプローチしやすい場所にヒナが動いたので、もう一度近寄って撮影させても
らった。大きさが分かるよう私の親指とツーショット上からショットでは未
発達の翼の様子が分かる。魚眼レンズで生息環境もよくわかる。

湿地にはカルガモも水浴びにやってくる。夏のカルガモはコントラストが強い。
巣塔のコウノトリは吐き戻し給餌を始めたようで、こちらも真夏のヒナ誕生で
ある。コチドリの親鳥は、ようやく落ち着いて近くまで寄ってきた。かなり羽
根が磨耗している。

YouTubeにアップしたDムービーによるコチドリのヒナの走る様子。
すでに親鳥と変わらない健脚(チドリ足?)ぶりである。




【撮影データ】 17/Jul/11 豊岡市 D90+VR300F2.8,SIGMA10mmFE