谷に入るとヤマセミが渓流沿いを上流に飛んだ。常駐場所に止まっているのを 確認するとすぐに別の1羽が合流し、下流へと飛び去った。繁殖中だと直感し、 定点観察に入る。 再び常駐場所の枝に戻ってきたヤマセミは♂だった。警戒が強く、車内からの 観察にも気を使う。渓流を横切って直線で飛び、路肩の電柱の上に止まった。 正面顔のヤマセミはファンキーな面構え。♀には出ない茶色の羽根が♂の特徴。 雨がときおり激しく降り、ヤマセミは再び飛び出してエリアから姿を消した。 さらに人の気配を消すよう整えなおし、待機。30分ほど経って常駐場所に♂ が戻ってきた。キャラッ・キャラッと鳴きながら警戒を続け、電線に止まった。 ヤマセミはしきりに法面の崖を気にし、やがて意を決して飛び出し、崖の中に 吸い込まれて行った。 しばらく出てこないので♂が抱卵に入ったと判断。崖に近寄って巣穴の確認を 行った。隣接して2つの巣穴があり、どちらを使っているのか、この段階では 不明だった。後の観察でこの穴が使われていることが分かった。隣の穴は古い 巣穴か、なんらかの理由で放棄されたもののようだ。 3時間後、ヤマセミ♀が現われた。♂にある茶色の羽根がなく、白と黒のモノ トーンが美しい。この♀の体格は♂より一回り大きく感じた。♂が止まったの と同じ位置で電線に止まり。あたりを警戒しながらキャラッ・キャラッと連続 的に声を出した。 やがて、♂と同じようにこのような飛跡で巣穴へ飛び込んだ。すぐに♂と交替 するか思ったが、♂が出てきたのは♀が入ってから1時間後のことだった。 今回ヤマセミの営巣を確認することができたが、ヒナが孵るまでは営巣場所に 長く留まらないよう留意したい。無事ヒナが孵ってくれるよう願っている。 観察ログ ---------------------------- 10:42 ♂木に飛来 10:53 ♂電柱へ移動 10:58 ♂電柱から飛び立ち 11:21 ♂木に飛来 11:26 ♂電線に移動 11:28 ♂巣穴に入る 14:22 ♀電柱に飛来 14:41 ♀電線に飛来 14:44 ♀巣穴に入る 14:55 ♂巣穴から出る ---------------------------- あがり際、川沿いでカシラダカ♂とノビタキ♂をチェック。 この日は六方エリアに目ぼしい鳥の流入は無かった。 【撮影データ】 23/Apr/11 豊岡市 D90+VR300F2.8x1.4 |