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サンカノゴイ


サンカノゴイ (コウノトリ目 サギ科 /Eurasian Bittern)
朝早くに仲間から携帯が鳴る。サンカノゴイが出たとのこと。現場に急行し、
捕捉中の彼のレンズの方向に双眼鏡を当てる。いた。30m前方に首をまっす
ぐ上に伸ばしたサンカノゴイの姿を初めて見た。

第一発見者は但馬野鳥の会のNさん。先だっては山際の湿地でヤマシギを見つ
けた人だ。私らのように写真を撮るという邪念がないから、こまめにあちこち
を回って観察眼も確か。ヨシ原の隠遁者サンカノゴイの今回の発見は、大雪も
幸いした。雪の重みでヨシが倒れ、姿が見えやすくなったのだ。

とは言っても、広いヨシ原の中でヨシ化けの名人を見つけるのはたやすいこと
ではない。いることが分かった上で探すのとは訳が違う。お見事である。環境
省RDBで絶滅危惧IB類(EN)、兵庫県RDBではCランクとなっているが信憑
性は疑わしい。見つけるのが非常に困難な鳥だから、生息数の推定すら難しい
のではないかと思う。

ヨシ化けポーズのサンカノゴイ。首はまっすぐ上を向いていても、目線は常に
水平より下に向いている。ポジションを変えようと少し動いた途端、逃げるタ
イミングを見計らっていたように、サンカノゴイが飛んだ。身を細くして緊張
している姿からは想像できないほど大きな鳥だった。イメージとしてはトビ並。
それほど速い飛翔ではないが飛翔姿をしっかり捉えることは難しかった。翼を
広げた姿は、サギというよりタカに近い。

一旦見逃すと再捜索は困難を極める。ようやく湿地の中ほどにいるのを見つけ
た。緊張を解いたサンカノゴイは、ヨシ化けポーズの鳥とはまったく違って見
えた。図鑑写真用に盛大トリミング。別の仲間が継続観察し、大きなフナを丸
飲みする場面を観察している。その後、ヨシ原の中に紛れ込んで姿を見つける
ことができなくなって観察終了。

翌日も朝早くからヨシ原に向かったが、湿地中央にサンカノゴイを見つけるま
でに1時間半も掛かってしまった。(どこにいるか分かるだろうか?)
盛大トリミングで切り出したサンカノゴイは、柔らかな半逆光の中で前日より
美しく見えた。短い時間のうちにヨシ原の中に隠れてしまい、その後、見つけ
ることができなかった。

河口の湿地でコウノトリ1羽と出会った。足環からJ391と分かる。戸島湿
地の繁殖ペアのオスである。すぐに飛んで、芽が膨らみだしたヤナギを背景に、
営巣の始まっている巣塔の方へと戻っていった。

湿地のカモは昔に比べてずいぶん少なくなった。目を引くのはハシビロガモと
オオバンくらい。婚姻色の出始めたアオサギがたくさん寄ってきている。上空
ではミサゴがホバリングし、すぐに狩りを諦めて頭上を旋回してからどこかへ
行ってしまった。

【撮影データ】 19-20/Feb/11 円山川 D90+VR300F2.8