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ヤマシギ登場


ヤマシギ (チドリ目シギ科/Eurasian Woodcock)
ヤマシギ情報を得て現場に急行。すでに仲間二人がチェック中だったが、見つ
からないとのこと。ほどなく「おった!」と声が掛かる。50mほど離れた雪
解けにヤマシギの頭が動いているのが何とか見えた。初めての鳥である。大柄
で頭頂の黒いストライプが印象的だった。

すぐに姿を消してその後は行方不明。雪解け湿地にはルリビタキの成鳥♂がい
て、美しいルリ色を見せてくれた。雪上から飛んだところ。しばらくして、谷
の狭くなったあたりの雪解けにヒョコンと出てきたヤマシギと目があった。急
いでカメラを取りに戻ると、もうそこには居なかった。

午後から出直し。ポイントにヤマシギの姿はない。ほどなく、山の上から私の
頭上をキジバトのようなものが羽ばたいて湿地に下りてきた。ヤマシギだった。
ジシギのイメージから、湿地周辺に潜んでいるとばかり思っていたが、名前の
通り、山の中で暮らすシギであることを認識した。

とりあえず証拠写真だけは押さえてから、別の場所に移動していた連れを呼び
戻す。ヤマシギは鳩くらいの大きさで、シギの仲間としては大型である。この
あたりでは冬鳥のようだ。夜行性のため、普段その姿を見る機会は殆どない。
今回は雪で餌場を失って、人目に触れる場所に出てきた。

泥の中にくちばしを突っ込み、中の虫を探り当てる。くちばしの様子をみると、
この個体は上くちばしの先端付近に変形が見られる。枯葉模様の羽根は、ちょ
うどヤマドリのようであり、山の地表で暮らすための絶妙なカムフラージュと
なっている。上から見ると、頭頂に明瞭な黒いストライプが特徴的で、背中に
は縦に2筋の明るいラインが入る。前から見ると、どことなく冠羽を畳んだヤ
ツガシラの雰囲気に似ている。

尾羽を立てて少し緊張する。アオジとの2ショット。投棄ゴミから人の生活圏
であることがわかる。大きな物音に反応して警戒態勢に入った。このカットで
は肉色の足がよく見える。緊張が解けると再び採餌を続け、次第に遠ざかりな
がらやがて沢の奥へ消えて行った。

兵庫県RDBではBランク。夜行性らしい大きな目と、和風の渋い羽根模様が
魅力ののヤマシギ。地元にこんな鳥がいたんだと、認識を新たにした。冷たい
雨の降る中、久しぶりにフルメモリーになるまでシャッターを切った。
情報を頂いた但馬野鳥の会Nさんに感謝する。

【撮影データ】 22/Jan/11 豊岡市 D90+VR300F2.8