蜘蛛男イッコウ氏が来るという連絡を受けて、予定になかった夜遊びに出る。 フィールドに赴くと、すでに二人がそれぞれにシャッターを切っているところ だった。参戦し、アカイロトリノフンダマシに集中してレンズを向ける。 普通タイプのアカイロトリノフンダマシ 黒色型 標準と黒色の中間タイプ この夜は湿度も下がってクリアな星空*が広がった。いくつもの流れ星が、光の スクラッチを一瞬描く。近くの藪からはイノシシの不気味な気配。 イッコウ先生の蜘蛛談義に耳を傾けながら、ひとつずつクモを見て歩くのはい つもに増して面白い。最近はクモの生殖活動の観察に重点を置くイッコウ氏、 オスの命がけの繁殖行動の話に興味深く耳を傾ける。 連れと二人の夜遊びでは、「なんだらぁ?わからん」で見過ごしてしまう相手 も、イッコウ氏に聞けばたちどころにその場で同定がなされる。歩く蜘蛛図鑑 である。この夜、初物となったトラフカニグモ(脚欠損)、ムツボシオニグモ。 一週間経ってビジョオニグモが目立ち始めた。ワキグロサツマノミダマシはハ ムシを捕食中。 ムツトゲイセキグモも脱皮して大きくなっていた。昨年の撮影方法をレビュー しながら、しばらく相手になってもらう。道具を持ち忘れたので、今回は内蔵 ストロボだけでやってみる。トップ写真は3ツ玉を「なめんだらげ」に振り回 したところ。2ツ玉を豪快に回したシーンは、なかなかうまく撮れた。 1年ぶりにコツを思い出したので、次回は本格的に迫ってみようと思う。 私がムツトゲに呆けている間に、二人は今宵の「とっておき」を見つけていた。 それがコレ。ゲホウグモ。名前の「外法」は髑髏(どくろ)の意味があるらしい。 上下反転で腹部の模様に注目すれば、たしかにこわもての人面が浮かび上がる。 ゲホウグモの特徴は細目の円網*にある。コガネグモ科の多くの円網にくらべ、 はるかに繊細な網を張る。希少なクモのひとつ。 日が変わっての観察中、真夜中に携帯メールが届いた。都会の娘からのバース デイ・グリーティングだった。そうか、今日は私の誕生日だった。 熱帯夜も少し緩んだ立秋の夜遊びは、オッサン3人がワーワーいいながら2時 前まで続いたのであった。 【撮影データ】 07/Aug/10 豊岡市 D90+SP90MACRO,*SIGMA10mmFE |