トップろっぽうフィールド日記>このページ

里山のチョウ


オオムラサキ (タテハチョウ科)
午前中は田んぼの学校のスタッフ活動。今回は川遊び*。アクリル水槽にカメラ
を入れて魚眼レンズで撮ったけど、レンズが密着しないので壁面の反射が写り
こむのが調子悪い。でも、雰囲気は狙い通り。

午後から近所の里山に登る。ずいぶん久しぶりにこの山に入る。山麓のお堂の
周囲には獣除けの金網が張り巡らされ、サンシチソウがいつもどおりに迎えて
くれた。竹やぶの谷は荒れ放題。ヌタ場に向かう獣道が登山路と区別できない
ほどだ。尾根に出ると、アベマキの樹液にはカナブン*が集まっていた。

山頂*は整備が進み、北西の展望が素晴らしくなった。六方田んぼを見下ろす絶
好の展望台だ。この風景をバックにキアゲハ*ヒメアカタテハ*を撮ってみる。
標高200mの山頂は山城跡。お地蔵さんの上にスジクワガタ*がいた。

ここまで登ってきたのはオオムラサキに会うためだ。しばらくぶりだが、ちゃ
んと居てくれた。夕方が近づくにつれ、チョウの活動が活発になる。オオムラ
サキは占有行動が強く、他のチョウがテリトリに入り込むと一目散に追い散ら
すのだ。見晴らしのよい枝先にこのような姿勢で見張りを続ける。丸まった葉
に両脚をしっかり広げて踏ん張り、翅は全開にしないでこのような形にして高
速スクランブル発進に備えている。

光が足りなくなってきたので、ストロボも試してみた。ヒノキで開翅したカッ
トと下からのアップ。ターゲットはしっかり写るが、ストロボ光が場の雰囲気
をスポイルしてしまうので、使い方も良し悪しである。

風がよく通る山頂には、様々なチョウが飛んでくる。(ミヤマ)カラスアゲハ、
モンキアゲハ、アオスジアゲハ、キアゲハなどが優雅に飛び、ヒカゲチョウも
地味に草の合い間を飛んだ。この日、オオムラサキは5頭ほどいたのだろう。
他の蝶の追尾もさることながら、オオムラサキ同士の激しいバトルも展開され
た。ときには上空のツバメに反応して全速で追いかけて行ったし、観察を続け
る私の帽子めがけて飛び込んできた。バサバサという大きな翅音を立てて追い
かけ回す大きな飛翔姿は、他の蝶とは違う生き物をも感じさせる。

あきることなくオオムラサキの観察を続けていると6時のチャイムが聞こえて
きた。ヒグラシの声が高まり、鹿の甲高い声が時おり響く森を駆け足で下って
里に戻った。

山頂整備はありがたいが、オオムラサキやタマムシの食草であるエノキは伐採
せずに残しておいてもらいたい。里山を代表する美しい国蝶オオムラサキが、
私たちのふるさとでいつまでも飛んでいられるように。

【撮影データ】 18/Jul/10 D90+VR300F2.8,*SIGMA10mmFE,SB-600