2004年の台風23号洪水でリセットされてから、六方川のクイナ類はすっ かり姿を消してしまった。普通に見れていたバンの姿はまだ復活しない。 そんな中で、2003年3月の初認以来、実に久しぶりに六方川でクイナを観 察することができた。 六方川の土手、ヤナギの若葉が美しく、アオジの囀りに耳を傾けていた。ふと 地面に目をやると、ヤナギの根元の暗がりにクイナが出てきていた。雨の日の 木陰と条件は悪いが、ISO感度を上げて久しぶりの鳥にシャッターを切る。 雨で柔らかくなった土を掘り返して、どうやらミミズを食べているのだった。 自分では、もんぺ姿の婆さんのイメージを持っていたクイナ、とても渋い羽色 に鮮烈なくちばしの赤のワンポイントが魅力である。湿地を歩くために進化し た大きな足指にも注目。 近くにいた仲間に観察場所を譲り、下流に向かってゆっくり移動。100mほ ど下ったところで別のクイナと目が合った。レンズを向ける間もなく、ブッシュ の中に逃げ込まれてしまった。しばらく待機すると警戒しながら姿を現し、先 の個体と同じように土を掘っては虫を探し始めた。 警戒を解くとあくびを見せたが、ふいに驚いて一目散に逃げ込んでゆく。 ピンと立てた尾羽が緊張したときの特徴。続けて観察したこの2羽のクイナは 雌雄のペアなのかもしれない。生態が詳しく分かっていないクイナであるが、 六方川での繁殖の可能性についても今後気にしてみたいと思う。 提内の湿地ではノビタキがちらほら。今季はノビタキの入りが少し遅れている ような感じを受ける。川を離れて農道を六方田んぼに向かえば、冬の間には観 察できなかったチョウゲンボウ♂と出会った。ホバリング中にカラスにモビン グされて電柱に退避したところを撮影。すぐに飛んでいってしまった。 【撮影データ】 11/Apr/10 豊岡盆地 D90+VR300F2.8 |