早朝、豊岡盆地は深い霧に包まれた。少し外れた谷に向かうほどに、霧は薄く なって行く。杉林の林道をゆっくり上ると、目の前にヤマドリが出てきていた。 フロントガラス越しに1枚切ってから、窓から出したレンズを前方に向ける。 ちょうど木漏れ日のハイライトの中にいるので、暗い杉林でも何とかシャッター 速度が稼げる。すぐに逃げると思いきや、路肩の縁でほろ打ちをして威嚇した。 滅多に見えないヤマドリの冠羽が逆立っているところに注目。 「ドドドドッ」とドラミングした後は、ゆっくりと動き出し、向きを変えるや 小走りで駆け出した。長い尾羽の様子はこちらの写真の方がよくわかる。道路 を駆け足で横断し、右の杉林の中に消えて行った。 そのまま林道を上がる。アオゲラとシメの群れがいたくらい。一箇所でオオル リが縄張りソングを歌っていたが、山に夏鳥の歌声が戻ってくるにはまだ少し 早い。 夕方の六方田んぼ、百合地巣塔の下には3羽のツルシギがいた。後ろに写って いるコウノトリは百合地ペアのメス。観察隊の話によれば、餌をめぐって夫婦 喧嘩中なのだとか。怒った留守番のオスが、交代に上がってくるメスを寄せ付 けないらしい。幼子のために、喧嘩はやめて仲良くやってもらいたい。 夕暮れの湛水田はコチドリが「ピォピォピォ」と賑やかで、その上をハイイロ チュウヒ若♂がゆっくりとパトロールすると、鳥たちに一瞬の緊張が走った。 【撮影データ】 04/Apr/10 豊岡市 D90+VR300F2.8 |