カラスの写真は、実はとても難しい。黒い光沢を出すのがなかなかなのと、そ もそもレンズを向けた途端に飛ばれてしまう。人里に暮らす鳥だけに、人の動 きには非常に敏感に反応するのだ。そんなカラスも美味しい御馳走にはかなわ ない。観察者がそばに付いていようが、お構いなしに貪り食う。 河谷湛水田でハシブトガラスが喰らい始めたのはカルガモだった。おそらく鷹 が狩った獲物を横取りしたのだ。私が観察を開始したとき、カルガモにはまだ 息があった。腹は割られていたが、断末魔に首をもたげた姿が哀れだった。 採餌は序列に従って交代で行う。スキをついてトビが横取りを何度か試みるが、 結局美味しいところは全部カラスが食べてしまった。コウノトリが飛来。1羽 が捕食現場に近寄って興味深げに覗きこんだが、それ以上のことは起こらなかっ た。 カラスの宴は続く。カルガモの腸に向かった、腸の端をくわえたまま飛び上が り、長い腸を全部引きずり出して畦で食べた。カラスにとってもホルモンは美 味いとみえる。ブロック肉も美味しそうだ。カラスの宴が終わると、ようやく トビが残り物にありついた。こうして、自然界の死はカラスやトビによって無 駄なく処理されてゆく。 六方に常駐のコハクチョウは1羽増えて7羽になった。飛び立って百合地の湛 水田に下りたのを双眼鏡で確認。その後を追うように別の3羽が合流し、この 日のコハクチョウは10羽の群れを作った。今冬の豊岡盆地はコハクチョウが 賑やかである。 【撮影データ】 26/Dec/09 六方田んぼ D90+VR300F2.8 |