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処暑の頃

ツバメ
ツバメ* (スズメ目ツバメ科/Hause Swallow)
8月23日の日曜日は二十四節気の「処暑」。この日を境に暑さが峠を越す。
その節目のとおり、朝から湿度の低い気持ちのよい天気となった。といいなが
ら、越えるべき暑さというものが来ないまま、何ともだらしの無い今年の夏で
はあった。

夜遊び明けで遅く起きた朝、六方田んぼを回るとあちこちでセッカの声を聞い
た。この写真は土盛りの荒地で撮影したが、セッカは小さい上になかなか止ま
らないので撮影は難しい。このカットではセッカの特徴である眉斑と頭央線が
チェックできるだろう。イヌタデやエノコログサが出始めて、秋の近さを教え
てくれる。

車を停めた農道の先では、人工巣塔にカメラを設置する工事が行われていた。
来年の繁殖に向けたモニターなのだろうか。作業を見ていた百合地のKさんと
すれ違い様に短く会話を交わす。「うまく行くんかなあ?」

夕方、犬の散歩を兼ねて円山川の河口に向かった。主目的はツバメのねぐら入
りの観察。これを見送らないことには、夏が終わった気がしないのである。
今年のねぐらは城崎の菊屋島*という情報を得ていた。

犬を散歩させているうちに日はどんどん落ち、ツバメが集まってきた。堤防の
私たちのすぐ横を、ツバメが高速低空飛行ですり抜けてゆくたびに、「オオッ」
と声が出る。しかし、いつもの場所で見る巨大な群が上空を舞う様子は、ここ
では観察されなかった。グループごとに飛んできては、そのままヨシ原に下り
てゆく感じだった。

7時を過ぎると、ヨシ原からはツバメの声がうなりのように聞こえてくる。
観光ホテル*の灯りが漏れ、屋上に細い三日月が掛かった。この風景の中でツ
バメの群飛を撮りたかったが、絵コンテ通りに物事は進まないものだ。

ヨシ原の横を車で抜ける際、真横でツバメが集結している声を聞く。車を降り、
ノーファインダーで腕を伸ばして撮ったのがこのカット*。フラッシュで驚か
せてしまったが、ヨシの茎にツバメが止まっている様子が分かる。
トップ写真はなかなか雰囲気のある絵になったと思う。

【撮影データ】 23/Aug/09 豊岡市 D90+VR300F2.8x1.4,*VR18-200