盆地内の小さな湛水田にクサシギ1羽が入っていた。仲間の報告によれば、大 豆畑で大型の地鴫を見たとのこと。放鳥拠点前ではコウノトリが農道でまった りしていた。 河川敷に接する山際はツバメの餌場になっている。夕方になると羽虫が湧き出 てくるのだろう。狭いエリアを何十羽のツバメが高速旋回しながら餌を採って は、空中の巣立ち雛に口移しで与えている。 空中給餌がしばらく続くと、飛翔力の弱い幼鳥は草地の細枝に下りてそこで給 餌を待つようになる。しばらくこの場所で観察を続けた。 親鳥が近づくと、幼鳥は最大限に口を開き親鳥を誘導する。親鳥の目線は幼鳥 の黄色い口中に注がれる。見事なのは親鳥の飛翔制動だ。高速飛行のまま幼鳥 に向かってきて、ぶつかる直前で翼を広げて一気に減速する。尾羽が効果的な ブレーキとして機能している。 そして一瞬のうちに、反り返った空中姿勢で餌を口移しで渡す。トップ写真も 別の給餌シーンだが、親ツバメは常に空中に浮かんだまま0.1秒の単位で餌 を渡すのである。勢い余って時々こんな状態にもなるが、ソフトな幼鳥のくち ばしが親鳥を受け止めてくれる。 そろそろ日没時のヨシ原では、ツバメの集団ねぐらが形成されつつある頃だ。 夏鳥が南へ渡る季節が近い。 【撮影データ】 02/Aug/09 豊岡盆地 D90+VR300F2.8x1.4 |