路肩に停めた車の助手席越しに、対岸の枯れ木に止まったヤマセミを観察する。 居合わせたアオサギとガンを飛ばしあうヤマセミは、今年生まれの幼鳥。胸に 赤い斑が出てきているのでオスである。つまりヤマセミ少年といったところ。 すぐに道路を横切って、西の山際に飛んで行った。 追いかけてみると、今まで気づかなかったが、山すそに沿って浅い用水路が流 れており、そこを餌場の一つにしているのだった。一旦見失ったが、ケッ・ケッ と短く鳴く声の方に目をやると、橋の欄干の上に魚をくわえた少年を見つけた。 レンズを向けるとすぐに飛び立ち、何カットか追い撮りすることができた。 60mほどの距離があり、雨で暗く、ISOを上げて撮影したものを切り出し たので画質は悪い。それでも、なかなか撮れないシーンを残せたのが嬉しい。 再び、本流の常駐場所に少年を見つける。ポートレート写真は、くちばし先端 に魚のウロコをつけたまま。冠羽は未発達で、表情もどことなく幼い。口の中 が見えるカットがあった。ヤマセミの舌はかなり黒っぽいことが分かる。 上流に飛んだのに合わせて移動。茂った枝に止まっていたのにレンズを向ける と、途端に飛ばれてしまった。唯一のカットをレビューすると成鳥メスであっ た。どうりで警戒が強いはずだ。きっと少年のお母さんに違いない。少年の独 り立ちを、近くで見守っているのだろう。 ヤマセミの気配がなくなると、待っていたかのようにカワセミが顔を出した。 【撮影データ】 25/Jul/09 豊岡市 D90+VR300F2.8x1.4 |