鳥に飽きてくると、他の生きものに目が移る。クモだったり虫だったりするが、 やっぱり獣が面白い。野性哺乳類は撮ろうと思って撮れる相手ではないので、 その出会いというのはスリリングで、面白いのである。 標高500mの山中、鳥待ちの車の中でバックミラーに獣が動いた。さきほど 撮影したサンコウチョウの露出設定のまま、急いで車外へ飛び出す。 アナグマが路肩の落ち葉を引っくり返しながら遠ざかってゆくところだった。 こちらの気配を感じて小走りに道を横断すると、森の中へと消えて行った。 この森で一晩の自動撮影の段取りを行う。その夜の9時過ぎ、チェックのため に山に上がってみた。テンが1度シャッターを切っていた。タイムスタンプは 21時01分。ほんの少し前にテンが歩いていたのだ。(トップ写真) 夜の森は静まり返って真っ暗だ。久しぶりに人工の光や音の無い空間に身を置 いてみると、なにか特別な気持ちが湧き上がってくる。 翌朝、カメラを回収する。その後、シャッターを切ったものはいなかった。 それでも、夏毛に変わったテンが写ったことは嬉しかった。 【撮影データ】 06/Jun/09 豊岡市 D90+VR300F2.8x1.4 |