広域農道を東に抜け、斐伊川河口の水田地帯に入る。幹線はこれでまで何度か 走ったが、田んぼ道に逸れるのは初めて。あてはなかったが、このあたりかと ハンドルを右に切った。どの家も防風林に囲まれた小さな集落を抜けると、一 面の水田地帯。前方を望めばあっけなく採餌中のマガンの大群を見つけた。 凄い数である。300いや400、そのくらいの集団が落穂や二番穂を食べて いる。こういう場所には大概カメラマンの車が付いているものだが、周りには 誰もいなかった。これで気兼ねなくマガンに遊んでもらえる。初心者マークの 車の運転を息子に任せ、私は助手席からマガンを狙った。マガンの採餌環境* を広角でまず押さえる。右手が宍道湖。西から宍道湖に注ぐ斐伊川河口一帯は 出雲平野の突端。広大な水田地帯である。その広がりは豊岡盆地の六方田んぼ の比ではない。宍道湖と出雲平野という大きな自然環境があってこそ、毎年2 千羽を越えるマガンの越冬生活が支えられていることを、現場に来て初めて実 感した。 せっかくの食事中を邪魔する形になるが、餌場の田んぼを一周して幹線に戻る ことにした。集団の真横を車で行くことになる。申しわけないが飛ぶのは間違 いない。その心構えで車のGO/STOPを息子に指示した。レンズは18-200。 車が寄れば当然頭を上げて警戒体制*に。やがて群れの一部が飛び立ち(トップ 写真)、最後には群れ全体が飛んだ*。最後まで田んぼに残っていた1羽が印象 的で、こうした見張り役がいて群れ全体の安全が確保されている。 すぐ近くの田んぼに群れが降りたのを確認した後、「悪かったね」と心で詫び ながら斐伊川河口の堤防に上がった。途中、チュウヒが遠くをゆっくり飛んで 姿を消した。河口の中州でカモメ、イソシギ、タゲリなどが羽根を休めている のをスコープで観察。宍道湖にはカワウやカモがちらほら見えたが気を引くも のはいない。ミサゴが1羽飛んで来たのと、対岸上空をマガンの群れがいくつ か飛んでは田んぼに下りてゆくのが見えた。 斐伊川左岸に移動し、マガンの群れが下りたあたりに向かってみる。ほどなく 田んぼの中のマガン集団に出会う。ここ*には3台の県外ナンバーの車が付い ていた。集団の中にカリガネやヒシクイがいたのかも知れないが、先ほど独り 占めしたシーンで充分満足していたのでここは早々に退散した。 宍道湖グリーンパークは2度目の訪問。駐車場から機材を抱えて湖畔に向かう。 遊歩道に沿って観察舎前を通り過ぎ、堤防下の人工池を見た。何とツクシガモ がいた。ひょっとして、1週間前に久美浜湾で出会った2羽なのかも知れない。 そんなことを思いながらこのペアを見た。手前のくちばしの付根が白いのがメ ス。ゆっくり近寄るがあっけなく飛ばれてしまった。近くの湛水田に下りたの を幹線から観察した。このオスは片脚を引きずっていた。隣りの田に飛び移る 瞬間、脚の橙色が確認できる。あまい画像だがメスの飛びモノも記録した。 くちばし付根の白が明白である。 お昼になった。予定していた出雲蕎麦屋は予想通りの満員で諦め、R9沿いの 道の駅で食べることに。ここの料理が予想外に美味くて満足した。私は割子蕎 麦にシジミ汁、息子はシジミ汁付きのカツ丼を平らげた。 宍道ICから山陰道をさらに東へ向かう。 (シマネ・ショーPart3につづく) 【撮影データ】 24/Dec/06 宍道 D2X+VR300F2.8,*VR18-200 |