雨の降らない6月が続く。ずいぶん早起きしたつもりでも、大段ヶ平駐車場に着
いたのは8時前だった。ちょうど軽トラから老夫婦が下りて、笹薮の中へと入っ
て行くところだった。もう駐車場周辺のスズノコは採り尽くされているだろう。
私の他に登山者の車は無く、8時ちょうどに登山路に入る。
本日の目的はソウシチョウを撮影すること。登山は「ついで」である。重い望遠
レンズを肩から下げて歩くのはバランスが悪い。チシマザサの中からソウシチョ
ウの声があちこちから聞こえるが、一向に姿を見せない。
コゲラ、シジュウカラ、ヒメキマダラヒカゲなどにレンズを向ける。
ブナ林を抜けたコルのあたり、笹薮からソウシチョウの地鳴きが近づいてきた。
腰をかがめ、薮の中を探す。ソウシチョウのペアが姿を見せた。しかし、どうし
ても見通しのよい場所には出てこず、このカットを撮るだけで精一杯だった。
大屋町避難小屋を過ぎると、スズノコ採りの年寄りもこの先はあまり入らないと
見え、登山路の脇でも食べごろのが目に付きだした。適当に摘んではズボンのポ
ケットに入れながら高度を上げる。大段ヶ平から1時間で神大ヒュッテに出る。
そこから30分の登りで氷ノ山山頂。
誰もいない山頂は少しさびしい。足元からカッコウやジュウイチの声が上がって
くる。山頂を囲む笹薮からもソウシチョウの囀りが聞こえ、その増殖ぶりを思っ
た。在来種のウグイスも押され気味である。
氷ノ山越ルートから女性登山者が単独で登ってきた。若狭のスキー場からという
ことだった。鳥に興味があるらしく、しばらく鳥の話をしたあと、それぞれが来
た道を引き返した。
花盛りのユキザサを望遠レンズで切り取る。樹上ではゴジュウカラが餌を捕まえ
た。神大ヒュッテ*前のじいちゃんツリーに挨拶。水場の水はこの日も十分に流れ
ていて、ブナ林の保水力を改めて思った。ここの水をお土産に水筒に詰める。
アサギマダラが飛び、林床にはギンリョウソウ*が目についた。レンズを魚眼に交
換したついでに尾根筋の若いブナ林*を撮る。森ではエゾハルゼミの合唱が始まっ
ている。下りでは何組かの登山パーティとすれ違った。
大段ヶ平駐車場に戻ると数台の車があった。見晴らしのよい場所でオニギリの昼
食とする。近くでソウシチョウの囀りが聞こえており、姿が見えるまで随分と待
機してみたが、結局シャッターを切ることは無かった。タニウツギに寄ってきた
アオジョウカイ、ホウジャクなどにレンズを向けて紛らわす。
林道を福定方面に下りる。途中の路上でアカゲラが餌を捕まえていた。
別宮の大カツラで水を汲み、棚田*で写真を撮ってから帰途についた。
※撮影:D7000+VR300F2.8,*SIGMA10mmFE
【 登山日 】13年6月13日(木)
【 目的地 】氷ノ山(1510m)
【 山 域 】但馬
【 コース 】大段ヶ平〜山頂ピストン
【 天 候 】晴れ
【メンバー】たじまリ単独
【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
【 タイム 】大段ヶ平P8:00…大屋町避難小屋8:36…神大ヒュッテ9:02
…氷ノ山山頂9:32-10:10…神大ヒュッテ10:37
…大屋町避難小屋11:00…大段ヶ平P11:40
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