カヌーからはずいぶん遠ざかってしまった。私自身のテンション低下も原因
だが、同じ年代の漕ぎ仲間との歩調が合わなかったこともある。久しぶりに
なる今回の川下りは、一番の漕ぎ仲間でもあるKoh!氏のテンション復活に導
かれるように、実に1年ぶり、場所も同じ矢田川と決まった。中学生になっ
たばかりの息子たじま/GENが本日のゲスト。
艇庫でカヌーを積み込む作業も、どことなくぎこちない。2艇をカートップ
して西に向った。香住町のマーケットで買い出し。メインディッシュはやっ
ぱりチキンラーメンのワンパターン。カレイとキスの干物も忘れない。駐車
場で萬屋氏と合流し、ゴールポイントの三谷の左岸に向った。
着替え中、すぐそばまで4羽のアイガモが寄ってきた。アイガモはマガモと
アヒルの交配種で、最近はアイガモを使った有機稲作があちこちで導入され
つつある。水田の除草に一役買ったアイガモは、食肉として命をまっとうす
る。1羽は野生のマガモ♂の特徴を良く残しており、野生のマガモの神経質
さに比べあまりに人懐っこいことに違和感を感じた。
ゴール地点で出会ったアイガモ
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山田口右岸から出艇
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萬屋艇を私の車に積み替え、途中の自販機で缶ビールを仕入れて上流に向っ
た。出艇ポイントも昨年と同じ山田口右岸。萬屋氏とはちょうど一年前と同
じシチュエーション。Koh!氏は一昨年の10月以来の川下りとなる。埃だら
けのKoh!氏のトーネード、足を入れる前にバウの裏側に小さなハチの巣を発
見。1匹のアシナガバチがしがみついていた。Koh!氏がパドルで巣を落とす
と、アシナガバチがコクピットから飛び出して行った。
11時50分出艇。雪の少なかった今年は、昨年「子供の日」のツーリング
時に比べ水量が2割ほど少ない。山田口橋下流でお昼のサイレンが鳴り、最
初の瀬を軽快に下る。今回も私はキィウィ2。バウシートに息子たじま/GEN
を乗せている。食料一式もレジ袋ごと放り込んで、キィウィ2はいつでも頼
もしい母船である。その母船としての活躍のシーンが、このあとすぐにもやっ
てきた。
このコースを初めて開拓した1999年5月のツーリングで、Takao氏が瀬を下り
終えた後で静かに沈をした場所。今回は最後尾の萬屋艇が瀬の真ん中で見事
に横向きに張り付いてしまった。なんとかスプレースカートを外さずに脱出
してくれたらと見守るも、とうとう諦めて脱艇。その瞬間、萬屋氏のダンサー
は水舟と化した。何年か前、私が大屋川で体験した張り付きの状況とまった
く同じだった。水圧の恐ろしさをその時実感したが、今日の萬屋氏も同じ恐
怖を感じたことだろう。
水舟ダンサーを下流に流した萬屋氏が、力無く回収を依頼する。瀬が岩にぶ
ち当たって険悪な流れを作っている場所にダンサーが漂っている。トーネー
ドKoh!氏が回収に向おうとするが躊躇している。ここはキィウィ2の出番。
瀬の終りをフェリーグライドで越えて、漂うダンサーのグラブループにレス
キューベルトのカラビナを引っ掛ける。腰にダンサーの重みを感じながら、
左岸まで引っ張った。
八原の広い瀬
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藤の堰堤越え
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このトラブルが萬屋氏のトラウマとなり、かなりローな気分。残りの2艇は
マイペースで快調に下る。Koh!氏は瀬のたびに、しばらく忘れていたアドレ
ナリンの脳内噴出を感じているらしく、萬屋氏とは反対にどんどんハイになっ
てゆくのだった。
境橋の下はイワツバメの巣がびっしり。ときどき、オシドリが前を飛んだ。
カルガモ、イカルチドリ、セグロセキレイ、カワセミ、オオヨシキリ。期待
したヤマセミはとうとう最後まで出会えなかったのが残念。
お昼にしようと気持ちよさそうな場所を探すうちに、ゴールのすぐ手前まで
下ってきてしまった。ようやく適当な場所を見つけ、遅いランチタイムに入っ
た。息子たじま/GENは待ちきれない様子。焚き火を起こし、干物を焼く。萬
屋氏差し入れの焼き鳥が美味い。トラウマ萬屋氏もようやくリカバーし、い
つものように饒舌ぶりを発揮するのだった。
大谷橋手前左岸でランチタイム
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タニウツギが綺麗
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魚を焼く煙に反応してか、上空には沢山のトビが旋回しはじめた。香住のト
ビは魚の匂いに敏感なのかもしれない。熱いラーメンで仕上げて満腹。河原
に咲くタニウツギのピンクの花が美しい。気がづけば2時間近くも焚き火を
囲んでいた。
ここから最後の20分を漕いでゴール。ロングジョンを脱ぐ瞬間の肌に伝わ
る空気感がラストシーンの感動だ。乾いた服が気持ちよい。矢田川温泉で汗
を流す計画でいたが、Koh!氏の夕刻からの別の用件のために今回は諦める。
車の回収を終え、萬屋氏より一足先に車を出した。国道から右下に見える河
原で、萬屋氏が黄色いシートを大きく振っていた。ずいぶん派手な見送り方
をしてくれるものだ。張り付きトラウマもあったけど、結局今日のツーリン
グがよほど楽しかったのだろう。
すぐにKoh!氏の携帯が反応し、萬屋氏と連絡を取る。河原で振っていた黄色
いシートは、実はKoh!氏の忘れ物だった。そのアピールを彼はしていたのだっ
たが、この話にはさらに落ちがある。
途中で落ち合って黄色いシートを回収。ここで萬屋氏とは別れたのだが、艇
庫に戻って片付け終わると青いザックが残った。萬屋氏のザックであった。
【 行動日 】2002年4月28日(日)
【 河 川 】矢田川
【 流 域 】兵庫県北部
【 コース 】山田口(村岡町)〜 三谷(香住町)
【漕行距離】約10Km
【 天 候 】曇りのち時々晴れ
【メンバー】Koh! on Tornade, 萬屋正右衛門 on Dancer,
たじまもり & 息子たじま/GEN on Keowee2
【 タイム 】山田口11:50…境堰堤12:25…藤堰堤13:00…
大谷14:00-15:50…三谷16:10
【 マップ 】5万図「香住」参照