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娘が友達のヨシ君を連れて帰ってきた。ヨシ君とカヌーをする約束を果たすた めだ。当日は搬送車が1台しか使えないので、コース選定に少し頭を使う。 艇庫前のすのーべる淵から出て、12.5km先の立野大橋右岸をゴールに決めた。 妻カーと私の車の2台でゴール地点へ向かい、私の車をデポして妻カーで上流 の艇庫へと移動した。娘とは3年前の夏に少し漕いだ。ヨシ君は学校の体験学 習で一度漕いだことがあるという。艇は迷わずタンデムのキィウィ2を選んだ。 私もマザーシップとしてkoh氏のキィウィ2に乗る。 11時15分、すのーべる淵から出艇。この日の撮影のため、初めて舟に一眼 レフを積んだ。もちろん防水バッグに入れてある。レンズは1本で済ませるよ うに18-200mmズームにCPLフィルターを装着した。 水圧の恐ろしさを教育し、瀬のコーナーでの張り付きに注意を促す。娘とヨシ 君のパドリングはまずまず息が合っている。メインパドラーのヨシ君には漕ぎ のツボを伝授する。力任せに下手でブレードを引くのではなく、立てたパドル の上手を、下手を支点にして前に押す。テコの原理で力を効率的にブレードに 伝えるのだ。ヨシ君はすぐにこれをマスターした。 日置橋左岸は昨年に工事が入っていたが、見事に河原が川に変わっていた。 対岸の日置地区は昨年の台風9号の大水で浸水被害を受けた。河道を広げてボ トルネックを解消しようということだ。 神鍋山からの溶岩壁を過ぎると、左に大きくカーブして鶴岡橋が見えてくる。 カヌーのときはいつも写真係をお願いする、仲間のY氏がここで合流。上郷橋 までの間、写真でフォローしてくれた。国道から見た2艇*。後ろの工事現場 は、近く架け替えられる鶴岡橋。来年は新しい橋の下をくぐることになるのだ ろうか。 蓼川堰堤に向かって*漕ぐ。堰堤でポーテージ*。適度な水量があって堰堤越え も楽である。落ち込みを観察すれば、予想通り稚鮎の溯上が見られた。堰堤下 の流れは少し複雑で、コース取りを説明してからエントリーさせる。無事に瀬 を漕ぎぬけたのを確認し後に続く。ケヤキ林を上郷橋に向かって漕ぐシーンを、 橋の上からY氏が撮ってくれる。(トップ写真) 橋の下はブロック越えの瀬。トリッキーだがキィウィ2なら問題なく通過でき ると読む。まず私が見本を示し*、同じように続くよう指示をする。「キャー」 という声に振り向くと、キィウィ2が水舟*と化しているではないか。岩に引っ 掛かってスターンが流され、そのまま上流側に倒れてコクピットに水が一気に 流れ込んだ。沈の典型パターンである。すぐにレスキューに向かい、300kg近い 重量になったキィウィ2から水を抜く。一気に体力消耗し、腰を少し痛めた。 まあ、これも経験である。こうすればああなると身をもって体験することが大 事である。気を取り直して再エントリー。瀬を下ってすぐ、上郷の右岸河原で ランチタイムに入った。妻が握ったオニギリは、少し浸水して円山川エッセン スが染み込んでいたがノープロブレム。カップ麺を分け、ウィンナーを酒のア テにする。残念ながら後の運転がある私はノンアルコールで我慢。 出発して緩い瀬を抜けると中ノ郷の瀞場。このコースで最も気持ちのよいポイ ントの一つである。水の音と鳥の声だけが、耳に聞こえる。普段の生活空間と は別の空間にすっぽりと入りこんだ感じ。やがて西芝の瀞場から流れに乗って 右にゆっくり流れてゆけば、堤防国道の車の騒音や、運動公園のスポーツ少年 の歓声で現実に引き戻される。 運動公園前の中洲はお昼寝ポイント。コーヒーで一服入れてから、太陽で熱せ られた丸石の上に体を横たえる。これが気持ちよいのだ。20分ほどの至福の シエスタ。いつまでも寝ていそうな二人をホイッスルで叩き起こす。ここから 先はヨシ君をソロで漕がせ、私はタンデムのバウシートに納まる。漕ぎ手は後 ろの娘に任せた。 蓼川大橋をくぐると川幅は一気に広がり、円山川は中流から下流へとここで姿 を変えてゆく。カワアイサ♀がいた。右の翼を傷めて飛べない。この鳥とは1 年前の冬に出会っている。(09年2月1日の記録) 元気で生き延びていたこと が嬉しかった。右岸の土壁にはいくつかの丸穴があり、カワセミの巣であるこ とを教えた途端、一つの穴からコバルトブルーが1羽飛び出して行った。 河原ではオオヨシキリの声がようやく賑やかになった。円山川は出石川と合流 し、左右両側の堤防国道から車の音が頭上を行き交う。車の時間軸とは別の、 カヌーの時間軸を私たちはトレースしている。川の上から車たちを見上げなが ら、いつもそのことに充足感を感じる。 円山大橋を抜けて漕ぐのは久しぶり。大磯流域で最後の漕ぎを楽しむ。右岸の 堤防の向こうは六方田んぼだ。カワセミが左岸沿いに追いたてられるようにス キップし、途中で川を横断して右岸へ逃げて行った。立野大橋をくぐって、右 岸のゴールポイントに上陸。車に2艇を積み込みゴールの記念撮影。 5月の川風に吹かれて、円山川の真髄を若者二人と下った一日。充実感に充た されながら川を後にした。娘もヨシ君も、同じ気持ちだったに違いない。今度 はタッちゃんと下りたいからと、娘から次の川下りを約束させられた。 よし、また下ろう。川に入れば、いつでも川の時空が待っているから。 ※撮影:D90+VR18-200+CPL、*Mr.Y氏撮影 【 行動日 】2010年5月3日(月) 【 河 川 】円山川 【 流 域 】兵庫県北部 【 コース 】すのーべる淵(江原)〜立野橋右岸(豊岡) 【漕行距離】12.5km 【 天 候 】晴れ 【メンバー】娘K+ヨシ君 on Keowee2、たじまもり on Keowee2 【 タイム 】すのーべる淵11:10…蓼川堰堤12:00…上郷河原12:40-13:50… 運動公園前14:30-15:00…立野大橋右岸16:25 |