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川の上から洪水を検証す(Part II)



豊岡市今森グラウンドでゴール

4月9日のパート1から繋いで、今回は江原から豊岡までの11キロを下る。
集まったメンバーはレギュラーのKOH、萬屋、たじまもりに加え、YumiKOH、
ベガ、妻たじまの女性陣3名と、長年の希望だったカヌー初体験のシュンちゃ
んを加えた総勢7名。賑やかなクルーとなった。

我々の川遊びは艇庫に集合した時点から既にスタートし、平均2時間という準
備作業を経てようやく川に浮かぶといったものである。この2時間が大切であ
り、今日の天気を占ったり、コースを事前シミュレートしたり、はたまたハー
ブティーなどを頂きながらつい四方山話に花を咲かせたり、充分な心のウォー
ミングアップをするわけである。

そんなことで、上陸地点に回収用の2台の車を回送し、誠に怪しい漕ぎ姿のま
まマーケットで買出しを済ませ、艇庫からフネを出し裏の河原まで運んで出
発の準備が整ったのは12時半前であった。10時集合から2時間半掛かって
しまったが、まあこれも充分に「想定の範囲内」である。

ここのところ、KOH氏と私はもっぱら2人艇Keowee2のシングルユースでリラッ
クスツーリングをモットーとしているわけなのだが、今回のKeowee2は女性陣
とシュンちゃんのために供出。KOH氏はトーネード、私はサイクロンを、何年
ぶりかに漕ぐことになった。艇庫に何年も眠っていたフネの埃を洗うことから
始める。狭いコクピットに下半身を滑り込ませ、充分なフィッティングをチェッ
クしないまま川に滑り込んだ。久しぶりにカヤックを操縦する感覚はなんだか
おぼつかない。

江原の旧町役場の裏手、右岸は洪水で堆積した砂利の山。その向こうにKOH家
の持ち山があって、ここのスギ植林も見事にドミノ倒しのごとき有り様だった。
KOH氏はここに広葉樹を植えて山を元に戻したい意向だ。台風の大水は、溶岩
の上に積まれたコンクリート壁を殆ど越えるところまで達していたという。
川面からはるか見上げる高さに引っ掛かったままのゴミが風に揺れている。
このあたりの右岸の川岸も水流で深く削られてしまった。我々の前方を2羽の
白黒のカモが行く。双眼鏡で確認するとマガモ。近づいても逃げない1羽は翼
を痛めて飛べないようだ。もう1羽は大丈夫だったが、怪我をした番の相手と
一緒にここに留まっているようだ。うまく繁殖してくれたらよいが。

鶴岡橋の橋脚の一部にはゴミが引っ掛かったままだ。左岸のケヤキ林にぶら下
がったままの白いビニールゴミが幽霊のように揺れるのを見ながら、いよいよ
蓼川堰堤に到達。ここ数日の晴天ですっかり水が干上がっている。堰堤の端で
ここから始まるちょっとした瀬の様子を全員でスカウティング。KOH氏がコー
スどりを指示する。大きなトラブルもなく右岸寄りから瀬を抜けて上郷橋のバッ
クウォータから橋の下を右岸寄りで通過。ここは乗ったまま降下可能だった。
途中でフィッティングを再調整し、時間とともにサイクロン乗りの感覚が戻っ
て来た私のパドリングも快調。

上郷の河畔林に沿ってまた新しい河原が出来た。我々のランチタイムにはおあ
つらえ向きである。14時前にここに上陸。遅いランチが始まった。いつもの
儀式を始めるべく準備を進めるが、もうビールを煽っている人がいて顰蹙の声
があがる。焚き火にはもちろんキス。加えて今日は焼き鳥の串が並べられた。
カヌーの焚き火にキスを焼いて食うというスタイルはかなり長く続けられてい
るのだが、この焼きギスをあぶってビールのアテにというのが実に我々のリバー
ツーリングのテイストにピッタリなのだ。これはこの先も止められないだろう。

今回、私のメインディッシュは長年のチキンラーメンのワンパターンを破り、
インスタントのパスタで行ってみた。前回KOH氏がトライして好評だったため
私も真似てみたわけなのだが、作るのに少し手間がかかるという点でチキンラー
メンのカップには負けるが、味はとっても美味しかった。1時間40分の長い
ランチタイム。というより、我々のリバーツーリングの真髄はこのランチタイ
ムにあるといってよいのだが、食事とビールとおしゃべりでまったり過ぎてゆ
く時間、それをまったく気にせず過ごせる贅沢。初体験のシュンちゃんも、こ
の「ツボ」にはまったらこの遊びから抜け出せないだろう。きっと自艇をゲッ
トする日も遠くない。

ツーリング後半がスタート。Keowee2クルーがここでメンバーチェンジした。
YumiKOHさんと妻たじまのフネの上では、それぞれの夫の愚痴が交わされてい
るのかも知れなかった。上郷河畔林の竹薮がかなり酷い倒壊状況だ。ここの環
境が変わった影響で、いつもここにできるサギのコロニーが今年は場所を移し
そうだ。シュンちゃんとベガさんの乗ったフネが張り出した竹に引っ掛かって
あやうい場面があった。沈の多くが木の引っ掛かりに起因する。引っ掛かって
艇が横向きになった時に流れに倒されるのだが、今回はKeowee2の安定性に助
けられた。

中ノ郷のザラ瀬、右岸で一人の親爺が竿を立てていた。愛想のよい人で我々に
手を振って見送ってくれる。「あれっ!?」とか思って接近してみると、やっぱ
りその人は義理の叔父だった。水槽に入れる雑魚を釣りに来たけど何も釣れな
いとぼやいた。カヌーが釣れるかもと叔父が言った途端、パドルに釣り糸が引っ
掛かった。照れ笑いしながら糸を解いて叔父に手を振った。

西芝に続く左岸のゴミの引っ掛かりが堤防の上からいつも気になっていた。
確かに今も沢山のゴミが河畔林に残ったままなのだが、それらは新緑の葉陰に
目だたなくなっている。風や雨がゴミを少しずつ飛ばして行くだろうけど、秋
が来て冬になるとまたゴミの花が目につくようになるだろう。中ノ郷の堤防は
かなり酷い被害を受けた。堤外の農地は使い物にならない。修復工事が続く。

円山川運動公園前の中洲で30分のコーヒーブレーク。ここの右岸で行われた
清掃ボランティアには私と妻たじまも参加した。運動公園から続く堤防では重
機を入れた補強工事が続いていている。Keowee2クルーの再度の交代が行われ
て最後の漕ぎに掛かる。シュンちゃんと妻たじまのペアは、シュンちゃんのよ
うやく慣れてきたパドリングで快調に進む。左岸の土壁からカワセミが飛んだ。
近づいてみるとカワセミの巣穴を見つけた。カワセミも今が繁殖期だ。

右岸で遊ぶ川ガキ数名を見つけたが、我々が近づくと何か悪いことを見つけら
れて逃げるように川辺から遠ざかっていった。川で遊んではいけないと教育さ
れて育った子供たちよ、遠慮なくこの川で遊びたまえ。川の水で魂を洗うのだ。
出石川と合流する頃には17時も過ぎ、西日が川面を染めて行く。天候は下り
坂で明日は雨の予報。生ぬるい空気が漂う代わりに、いつもこのコースで苦し
められる海からの逆風が吹かない。オオヨシキリの声を聞きながら最後のパド
リングを楽しみ、今森グラウンドに全員無事にゴール。今日もたっぷり一日遊
んだ。みんなとってもいい顔で記念撮影におさまった。

※川下り中の撮影はすべてNikon E5000+WC-E68

 【 行動日 】2005年5月5日(木)
 【 河 川 】円山川
 【 流 域 】兵庫県北部
 【 コース 】すのーべる渕(江原)〜 今森グラウンド淵(豊岡)
 【漕行距離】約11Km
 【 天 候 】晴れ
 【メンバー】KOH on Tornade, 萬屋正右衛門 on Dancer,
       たじまもり on Cyclone
       シュンちゃん, YumiKOH, ベガ, 妻たじま on Keowee2×2
 【 タイム 】すのーべる渕12:30…鶴岡橋13:15…蓼川堰堤13:25…
       上郷橋下川原13:55-15:35…運動公園前中州16:15-16:45…
       今森グラウンド17:30
 【 川情報 】・蓼川堰堤下は右岸寄りから
       ・上郷橋下は乗艇のまま漕ぎ抜け可能
       ・上郷河畔林、竹の張り出しに注意