円山川/寄宮〜江原
朝から最高のカヌー日和。雲は無く、青空が高く広がっている。南寄りの風が時お り色づき始めた木立を渡り、アカネが羽を光らせて群れている。よ〜し、みんな、 今日はカヌーに決めたぞぉ。 主宰しているホームパーティの中でも予告していた通り、友人のTakao さんに誘い の電話を入れる。私からの電話を待ちかまえていたかのように、彼の声も興奮気味 だ。12時に八鹿の寄宮(よのみや)の河川敷で待ち合わせることにする。妻たじ まはおにぎりを握り、私は近くのスーパに買い出しに走る。家を出たのは11時半 過ぎであった。 八鹿方面から国道312号を北上し、下小田交差点を過ぎて山裾を大きく左に回っ たところが寄宮。点滅信号と全但バスの停留所がある。ここから国道は堤防の上を 走るが、堤防を上がってすぐ右に「ダンプ入り口」と書かれた河川敷への降り口が ある。ここを下りて川岸に車をつける。ほどなくTakao 号が黄色いチヌークを載せ て現れる。彼とは9月10日、豊岡から円山川公苑まで下って以来だ。お久しぶり。 やあ。いつものお地蔵さん顔が微笑みかける。(^^) おにぎりとカップラーメンの昼食会が始まる。箸を忘れた我が家では、そこらに生 えている草の枝を箸代わりにラーメンを食す。本当はバーベキューでもと考えてい たのだが、初めての河原でもあるし今日のところはカップ麺で我慢。食後は前回と 同じく、Takao さんにドリップのコーヒーをたてて頂く。う〜ん、良い香り。川の 音、青い空、静かな川面。いやぁ、最高。 さっそく男の子2人を乗せて瀞場を一回り。この瀞場の入り口となる堰堤、実は前 回何も知らずに下って、ここの皆さんに注意を頂いた場所なのである。5万図にも 堰堤記号が入っている。下流に向かって一番右の水路である。あらためて観察する と、水量が減って下のブロックが顔を出しているものの、何とか通れそうな雰囲気 はする。だが、ストッパーウェーブの怖さを教えて頂いてからは、見る目が違って きたことは確かだ。ストッパーが立っているのかどうか分からないが、今後はポー テージが基本だと、自分に言い聞かす。(ストッパーだの、ポーテージだの、新し い専門用語が使えるようになったのもFODSのお陰だ) いっしょに漕ぎ出したTakao さんのチヌークは、Keowee2 と同じAquaterra のシー カヤックだ。ラダーは上げたまま。ここではシーカヤックでも全く問題なく遊べる。 広い瀞場は、端から端まで漕げば30分はかかるだろうか。進美寺(しんめじ)山 の山裾を北西に向かって大きくS字を描いている。子供たちは前のシートで手を浸 けたり、魚を観察したりして楽しんでいる。前回下った時に見つけた鯉のお昼寝場 所に連れてゆく。岸近くの水草が繁茂している場所。音を立てないように、そっと 近づく。居たっ! 大きな鯉がのんびり昼寝中だ。「父さん、居た居た。あそこっ」 子供たちも大興奮。パドルがコーミングにあたる音で、大慌てで逃げてゆく鯉を、 その後6・7匹も観察した。羽を休めていたカモが一斉に飛び立つ。ゆっくり舞い 上がったのはコサギ。ちょっとビックリさせてしまって、御免。 一周して戻り、今度は「妻たじま」と「こたじま/KAO」ペアと交代。妻たじまへの 洗脳も抜かりない。(^^; こたじま/KAOも上手に漕いでいる。ゆっくりと一回り。 Takao さんのチヌークに乗せてもらう。コクピットの着座ポイントが高い。Keowee2 はコーミングから体が沈んだ感じだが、チヌークはすぐ側に水を感じる。漕いでみ るとこれが全然速い! ビュンビュンスピードに乗って走る。いやぁ、いいね。こ れ。「そうだろ!」 Takao さんも自慢げ。いつのまにか近所の子供たちの釣り竿 がたくさん並んでいて、大物をつり上げている。よし、今度は釣り竿を持って来よ うな。子供と約束する。 ひとしきり遊んだ後、江原まで下ることにする。ここからは5Kmちょっと。1時 間で下れる。途中、赤崎橋の下にブロック堰堤が一ヶ所だけある。堰堤越えを考え 一番上のこたじま/KAOを最初に乗せて下る。Takao さんの車を置き、妻たじまと男 の子2人は車で赤崎の河原に先行。赤いKeowee2 と黄色いチヌークが、山を映した 静かな水面を割ってゆく。 長い瀞場を終えると、大きな中州に出会う。前回は左の水路に入って流れた。結構 幅が狭く、流れもあって面白かった。今日は鮎釣りも居ないのでまっすぐ幅広い瀬 を下る。途中、ちょっと波立っているところもあり、こたじま/KAOは大いに喜ぶ。 瀬を下ると左からの流れと合流し、赤崎橋の堰堤にぶつかる。下船。流れの緩い場 所に回り込んで艇を慎重に下ろす。堰の下の瀬で波をかぶり、こたじま/KAOが黄色 い声をあげる。「ちめたーい!」 チヌークも少し往生しながらも、この堰堤を通 過。スプレーカバーが外れてパンツが濡れたと、Takao さん。(^.^) 赤崎の石ころだらけの河原で一旦下船。待っていたこたじま/YUU、こたじま/GENと 選手交代。妻たじまとこたじま/KAOは終点の江原の河原に。緩い流れの中を漕ぎ出 すと、今までの景色と一変する。火山性の岸壁が右岸を形成している。かつて神鍋 (かんなべ)山が噴火した時に作られた地形であろう。ここを初めて下るTakao さ んもこの風景に感動。彼が「但馬ラインと名付けよう」と提案。そうしよう。この 但馬ラインの風景、江原の町を抜け鶴岡橋まで続く。 終点の江原の河原の手前に、大きな瀞場がある。溶岩の岸壁は左に移り、柱状節理 も少し見られる。岸壁の上は色づきはじめた落葉広葉樹が大きな枝を広げて、我々 のフィナーレを見送ってくれる。右手に左カーブする瀬があり、通常はこちらを下 るが今日は釣り人の先客あり。まっすぐ浅瀬に向かう。すこし腹を擦るが何とか下 って本日終点の瀞場。 無事下船し、Takao 車を回収して河原で帰り支度。「あっ、鳥が魚を採った!」、 妻たじまが叫ぶ。振り向くとヤマセミらしき鳥(同定できず)が魚をくわえて上流 に一直線に飛び去る姿を見た。今日一日の楽しい川遊びに感謝し、河原を後にした。 【 行動日 】95年10月14日(土) 【 河 川 】円山川(1級河川) 【 流 域 】兵庫県北部但馬地方 【 コース 】八鹿町寄宮〜日高町江原 【漕行距離】約5.5Km 【 天 候 】快晴 【メンバー】たじまもり一族(5人) on Keowee2、Takaoさん on チヌーク 【参考地図】5万図/城崎 【 タイム 】寄宮入川地 14:35 → 江原河原 15:35 |